労働実務事例
[ 質問 ]
20歳代の従業員と国民年金保険料の学生免除の話になりました。「低所得者の免除と違って、学生の免除期間は将来の年金に反映されないから、追納しておいたほうがよい」という話をしました。すると、「年金額に関係がないのなら、免除申請はなんの役に立つんですか」と聞かれ、答えに詰まりました。低所得者の免除制度と、どう違うのか教えてください。
奈良・H社
[ お答え ]
保険料の免除制度には、大きく分けて3種類あります。
① 低所得者などの保険料免除(法定免除と申請免除の2とおりがあります)
② 学生納付特例制度
③ 若年者納付猶予制度
②、③は比較的新しい制度で、一般に免除制度というと、①を思い浮かべる人が多いようです。
①の場合、法定・申請免除の期間は長期にわたり、60歳に達するまで免除が続くことも少なくありません。後から保険料を追納することもできます(ただし、10年以内に限ります)が、収入が回復し、追納できる状態になるとは限りません。
保険料を納めなかった期間について、将来の年金に一切反映しないのは、こうした経済弱者には非常に酷な対応といえるでしょう。このため、免除割合に応じて、一部年金を増額する規定を設けています。
一方、②、③の対象者は、学生、若年者という要件を満たさなくなれば、免除期間が終了します。通常は、就労所得が増え、生活にゆとりが出ると考えられるからです。②、③についても、追納(10年以内に限ります)が認められていますが、本人がその気になれば、追納はそれほど難しくないという人が多いはずです(全額一度にとはいかないでしょうが)。
このため、免除期間は一切将来の年金に反映させないという方針が採られています。
それでは、何のための免除かという話になりますが、免除期間は滞納期間とは異なります。老齢基礎・厚生年金については、保険料納付済期間と免除期間(+合算対象期間)が合計25年以上(平成27年10月から10年に短縮の予定)あれば、受給権が生じます。滞納期間は、25年のカウントに含まれません。
障害(遺族)基礎・厚生年金は、国民年金の被保険者期間中、保険料納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上あれば、保険料納付要件を満たします。当然のことですが、滞納期間は3分の2の計算からは除外されます。
特に学校卒業後間もない人がケガをした場合、学生時代、免除を受けているか否かは、大問題です。
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