労働実務事例
[ 質問 ]
定年後、再雇用で働いている高齢社員がいます。持っている技術力を買われて、遠隔地の小会社に好条件で移籍出向する話が出ています。しかし、末っ子がまだ東京の進学校に通っているので、本人は妻子を残して、単身赴任する予定にしています。この場合、加給年金額の扱いはどうなるのでしょうか。別居していても、妻子との生計維持関係が認められるのか、本人が心配しています。
埼玉・H社
[ お答え ]
被保険者が定額部分も合わせた60歳代前半の老齢厚生年金を受給しているとき、60歳代後半の老齢厚生年金を受給しているとき、一定条件に該当する配偶者・子供がいれば、加給年金額が支給されます。在職老齢年金の対象になっていても、本体の年金が支給停止にならない限り、加給年金額は全額払われます。
配偶者の年齢条件は65歳未満であること、子供は18歳到達年度の末日までの間にあること(1・2級の障害の状態にある子は20歳未満であること)です。このほか、生計維持条件を満たす必要があります。
年金の権利取得当時、上記条件を満たして加給年金額の対象となった家族がいても、家族が死亡したり、生計維持関係が消滅したりした場合、該当するに至った月の翌月から加給年金額がストップしてしまいます(厚年法第44条第4項)。
受給権者は、加給年金額の不支給事由が発生したときは、10日以内に不該当届を年金事務所に提出しなければなりません(厚年則第32条)。
それでは、別居すると生計維持関係がなくなったとみなされ、不該当事由に該当してしまうのでしょうか。
資格取得当時、「生計を維持していた」とは、①生計を同じくし、②将来にわたって年収が850万円以下であるという条件を満たす場合をいいます。
「生計を同じくする」という状態の一番分かりやすい例は、一般には住民票上同一世帯に属していることです。
しかし、住民票上、別の世帯に属していても、生計同一と認められるケースもあります。
単身赴任、就学または病気療養等のやむを得ない事情により住所が住民票上異なっているときについては、次の条件を満たし、その事情が消滅したときは、また家計を一にすると認められるときは、引き続き生計を同じくしているとみなされます。
① 生活費、療養費などの経済的な援助が行われていること
② 定期的に音信、訪問が行われていること
お尋ねのケースでは、問題なくこの条件を満たすでしょうから、加給年金額について心配はありません。
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