労働実務事例
[ 質問 ]
共働き夫婦の妻が死亡し、夫と子供1人が残されました。遺族年金の受給権者は子供になると思うのですが、夫は死亡した妻よりかなり高額の給与を得ています。それでも、子供に年金が支払われるのでしょうか。
神奈川・G社
[ お答え ]
遺族基礎年金と遺族厚生年金に分けて、考えてみましょう。まず、遺族基礎年金ですが、妻(母)の死亡の場合、対象になり得るのは、生計維持関係にある子ども(18歳の年度末までの子、または20歳未満で1・2級の障害のある子)だけです。父親は関係ありません。
お亡くなりになった母親は、厚生年金の被保険者(国民年金の第2号被保険者)であった期間中に死亡したのですから、保険料納付要件を満たしていれば、子供に遺族基礎年金の受給権が発生します。
ただし、「子に対する基礎年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有するとき、又は生計を同じくする父・母がいるときは、支給を停止する」(国民年金法第41条第2項)扱いとなっています。妻が年金を受けるとき、子供に対して二重に年金が払われないのは理の当然ですが、お尋ねにあるように父親が生計を同じくしている場合も、子供の遺族基礎年金は支給が止まってしまいます。
次に、遺族厚生年金ですが、母が死亡した場合、残された子供(年齢要件等は遺族基礎年金と同じ)が受給権を得る最先順位者となります。夫の順位は子供より下ですから、年収・年齢等を問うまでもなく、遺族厚生年金の対象になりません。
厚生年金については、「子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する」(厚年法第66条第1項)と規定されています。遺族基礎年金と異なり、「生計を同じくする父・母がいるとき」に関する規定は存在しません。ですから、生計を維持する父親がいても、子供に対する遺族厚生年金はストップしません。
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