労働実務事例
[ 質問 ]
従業員が複雑骨折で負傷し、入院しました。お見舞いに行った際、障害厚生年金の話題が出ました。本人は今回の事故以前に軽い障害があるので、「両方合わせて、障害等級を判定してもらえる可能性がある」という趣旨の説明をしました。本人がこれまで別の障害厚生年金をもらっていなくても、併合の対象になるという理解で間違いないでしょうか。
長崎・B社
[ お答え ]
厚生年金の被保険者等が、2つ以上の障害を持つケースもあり得ます。この場合、2つの障害を併合(加重)判定し、障害等級を定めるという形を採ります。
先に発症したものを「A傷病」、後から発症したものを「B傷病」と呼ぶことにしましょう。
たとえば、先に発症したA傷病が原因で2級の障害厚生・基礎年金を受給している人に、新たにB傷病によって2級の障害が残ったとします。この人は2級の障害厚生・基礎年金を2つ同時にもらうことはできません。しかし、両方の障害を合わせて、障害等級1級と判断されれば、支払われる年金額がアップします(国民年金法第31条、厚生年金法第48条)。
反対に、2つの障害それぞれは重くないけれど、両方を併合して障害等級を認定するケースもあります(国民年金法第30条の3、厚生年金法第47条の3)。お尋ねによると、以前に別の障害厚生年金をもらったことはないようですから、こちらの対象となる可能性があります。
A病による障害が2級以上に該当しなかった人が、国民年金の被保険者である間、または60歳以上65歳未満で日本国内で居住中に、B病(後から発症したB病を「基準傷病」といいます)で初診を受けたとします。
B病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに、A病の障害とB病の障害(基準障害といいます)を併合して障害等級の2級以上に該当した場合、その人には、請求月の翌月分から障害基礎年金が支給されます。初診日が厚生年金の被保険者期間中であれば、障害厚生年金の受給権も同時に取得します。
障害等級の併合(加重)認定の際には、A病の障害、B病の障害の程度をそれぞれ判定します。1級の障害(1号)、2級の障害(2~3号)、3級の障害(4~6号)、障害手当金の障害(8~10号)、それ以外の障害(10~13号)の13ランクとなっています。
縦軸を片方の障害ランク、横軸をもう片方の障害ランクとするマトリックス(認定表)が設けられているので、それに基づき、併合した障害の重さを判定し、(新たな)障害等級を決定します。
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