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短期・長期要件の違いは?遺族年金受給額異なるか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 遺族厚生年金には、短期要件と長期要件の2種類があるという話を耳にしました。両者の違いは何によって決まり、金額はどのように違うのでしょうか。

福島・A社

[ お答え ]

 被保険者等の死亡は、いつ起こるか予想がつきません。厚生年金の加入期間○年以上といった要件を設定すると、被保険者等が厚生年金加入後すぐに死亡した場合、遺族は年金を受け取ることができません。このため、短期でも遺族厚生年金の受給が可能なように、支給要件が定められています。
 厚年法第58条では、次の4種類を列記しています。
 ① 厚生年金の被保険者が死亡したとき
 ② 厚生年金の被保険者期間中に初診日がある病気・ケガで初診日から5年以内に死亡したとき
 ③ 1・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
 ④ 老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の資格期間(=老齢基礎年金の資格期間)を満たす人が死亡したとき
 以下、この要件を一つひとつみていきましょう。
 ①②は、加入期間の長短は関係ありません。保険料納付要件(原則、国民年金の保険料納付期間のうち滞納期間が3分の1以下であること)を満たしていれば、年金の受給権が生じます。③の障害厚生年金1・2級の受給権を既に得ている人も、厚生年金加入期間の長短を改めて問う必要がありません。このため、①~③を「短期要件」の遺族厚生年金といいます。
 ④は、老齢厚生年金の資格期間(保険料納付済期間、合算期間、免除期間の合計)が原則として25年間以上ある人達(または経過措置等の対象者)です。この要件を満たす場合を、「長期要件」の遺族年金といいます。
 両者は年金の計算式に違いがあります。遺族厚生年金は、老齢厚生年金の例に従って(厚年法第43条第1項)計算した年金額の4分の3です。
 老齢厚生年金の額は、大まかにいって①被保険者期間の平均標準報酬額、②法で定める乗率、③被保険者期間の月数を主要ファクターとして計算します。
 このうち、短期要件の遺族厚生年金は、②の乗率が固定(1000分の5.481)で、③の被保険者期間は300月とみなします。一方、長期要件の遺族厚生年金は、②の乗率が生年月日に応じた率、③が実際の被保険者期間となっています。ただし、生年月日に応じた率は、被保険者等が昭和21年4月2日以後はすべて1000分の5.481で、短期要件と同じになっています。被保険者等が短期・長期両方の要件に合致するときは、遺族が選択できます(厚年法第58条第2項)。



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