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労働実務事例

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遺族年金と併給時の選択、65歳達し老齢基礎優先か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 平成19年4月から遺族厚生年金の併給調整の仕組みが変わり、遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の受給権を得たときは、老齢厚生年金を優先して支給することになりました。そこで疑問なのですが、遺族基礎年金と老齢基礎年金の扱いは、どうなるのでしょうか。老齢基礎年金も優先だと、受給者にとって不利な気がします。

広島・D社

[ お答え ]

 遺族厚生年金について、なぜ併給の調整規定が設けられているのか、その点から確認しましょう。
 遺族厚生年金を受給している人が65歳に達すると、自分の老齢基礎年金を受けられるようになります。1人1年金の原則をそのまま適用すると、本人はどちらか片方を選択するしかありません。せっかく長年国民年金に加入してきたのに、遺族厚生年金を選択すれば、老齢基礎年金を受給できないのでは、あんまりです。
 そこで、1人1年金の原則を崩す特例が設けられています。以前は、老齢厚生年金と遺族厚生年金を「選択」して併給を認めるという考え方に基づいて、制度が作られていました。しかし、平成19年4月以降は、老齢厚生年金を優先するという方式に改められています。
 本人の老齢厚生年金を全額支払い、遺族厚生年金の方が多ければ、差額を遺族厚生年金として「併給」する形が採られます。なお、65歳以上の「配偶者」の場合には、「本人の老齢厚生年金の2分の1+遺族厚生年金の3分の2(A)」により計算した額が、遺族厚生年金・老齢厚生年金のいずれよりも大きいときは、(A)の金額マイナス老齢厚生年金の額が遺族厚生年金として支給されます。
 老齢基礎年金と遺族厚生年金の2年金の受給権を持つ人が対象の場合、この仕組みに従って年金の総額が決定されます。老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金(加給年金額を除く老齢厚生年金相当額は支給停止)というパターンが、原則となります。
 しかし、このほか、お尋ねにあるように、この2つのほかに遺族基礎年金の受給権も有するケースがあり得ます。
 遺族基礎年金は、子(原則18歳未満)を持つ妻などが対象ですから、65歳で遺族基礎年金の権利を有するのはレア・ケースでしょうが、少数でも対象者は存在するでしょう。遺族基礎年金と老齢基礎年金を比べれば、加入期間不足によるカットなどがない分、一般には遺族基礎年金が有利です。
 遺族基礎年金+遺族厚生年金は、同一事由に基づく併給ですから、1人1年金の原則に抵触しません。ですから、金額を比較したうえで、こちらの組み合わせを選択することも可能です。



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