労働実務事例
[ 質問 ]
労働安全衛生法では、労働者に深夜業を行わせる場合にはどのような規定の適用があるのでしょうか、その内容についてご教示ください。
京都・E社
[ お答え ]
労働安全衛生法は、第66条の2において、午後10時~午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域または期間については午後11時から午前6時まで)の間における業務を深夜業とし、これに関して、特定業務従事者の健康診断および自発的健康診断の結果の事業者への提出について規定しています。
特定業務従事者の健康診断について説明しますと、事業者は、同法第66条第1項に基づき、深夜業を含む業務など一定の業務(多量の高熱物体を取り扱う業務、重量物の取扱いなど労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務)に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際および6カ月以内ごとに1回、定期に、次に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならないとするものです(④の検査については、1年以内ごとに1回としています)(同規則第45条)。
①既往歴及び業務歴の調査、②自覚症状及び他覚症状の有無の検査、③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査、④胸部エックス線検査及び喀痰検査、⑤血圧の測定、⑥血色素量及び赤血球数の検査、⑦GOT、GPT及びγ―GTPの検査、⑧低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査、⑨血糖検査、⑩尿中の糖及び蛋白の有無の検査、⑪心電図検査
次に、自発的健康診断の結果の事業者への提出について説明しますと、安衛法第66条の2においては、深夜業に従事する労働者の健康管理をより充実させるため、一定の要件に該当する労働者は、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができます。この自発的健康診断の結果を証明する書面の事業者への提出ができる労働者は、①常時使用される労働者であること、②自ら受けた健康診断の受診日前6カ月間を平均して、1カ月当たり4回以上深夜業に従事したことの要件を満たす者です(安衛則第50条の2)。
自ら受けた健康診断の結果を証明する書面が労働者から提出された場合には、事業者は、当該健康診断の結果(異常の所見があると診断されたものに限る)に基づき、当該書面が事業者に提出された日から2カ月以内に、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならない(同法第66条の4、同規則第51条の2第2項)、また、この医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、深夜業の回数の減少などの適切な措置を講じなければならない(同法第66条の5)、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師または保健師による保健指導を行うように努めることとしています(同法第66条の7)。
以上のほか、深夜業に直接関係するものではありませんが、深夜業を含む可能性が高い業務に関連する規定に触れますと、安衛法第66条の8においては、事業者は、労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して定める要件に該当する労働者に対し、その申出により医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと)を行わなければならないとしています。
この労働者の健康の保持を考慮して定める要件としては、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における40時間を超えた時間が1カ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であるとしています(安衛則第52条の2)。
面接指導の結果に基づき、事業者は、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならないとされ(同法第66条の8第4項)、また、この医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、深夜業の回数の減少などの適切な措置を講じなければならないとしています(同条第5項)。
その他に、事業者は、夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるときは、必要な寝具などを備えた適当な睡眠の場所を、男性用と女性用に区別して設けなければならないとしています(安衛則第616条)。
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