労働実務事例
「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。
[ 質問 ]
パート労働法の改正で、労働条件をめぐってトラブルが生じたとき、パートタイマーが都道府県労働局に訴えることができるようになったと聞きます。会社は、都道府県労働局の命令を受けたら、これに従う必要があるのでしょうか。
埼玉・N社
[ お答え ]
これまでも、労働条件をめぐってトラブルが生じた場合、パート労働者は、個別紛争解決促進法に基づき、都道府県労働局長に対し、指導・助言、あっせんを求めることができました。
しかし、改正パート労働法では、「紛争の解決」という章(第4章)を新しく設け、下記の事項に限っては、個別紛争解決促進法ではなく、パート労働法の新設規定を適用することになりました(平成20年4月施行)。
・労働条件に関する文書交付(パート法第6条1項)
・通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別禁止(第8条第1項)
・教育訓練(第10条第1項)
・福利厚生(第11条)
・通常の労働者への転換(第12条第1項)
・待遇の決定に当たって考慮した事項の説明(第13条)
まず、当事者の双方または一方から援助の求めがあったとき、都道府県労働局長は、必要な助言、指導または勧告を行います。次に、当事者の双方または一方から調停の申請があったとき、個別紛争解決促進法に基づく「紛争調整委員会」に調停を行わせることができます。「一方」からの申請があったときでも、調停の対象となり得る点に注意が必要です。
調停に関しては均等法に同様の規定が存在し、パート労働法に基づく調停についても、原則的に均等法の処理規定を適用します。
仮にパートの側が、一方的に調停の開始を求めたとします。都道府県労働局長が必要と認めたときは、紛争調整委員会の会長が指名した3人の調停委員が調停を開始します。委員会は、調停のため必要があるときは、関係当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができます。必要な調査などが終了すれば、調停案を作成し、関係当事者に対しその調停案を受諾するよう勧告することもできます。
会社としても、中立的な立場にある専門家の意見を聴き、スピーディに紛争を解決するよい機会ですので、できる限り委員会に協力すべきでしょう。
ただし、調停案の勧告を受諾する義務まではありません。委員会は、「当事者の一方が非協力的で再三にわたる要請にもかかわらず出頭しない場合」などには、解決の見込がないとして調停を打ち切ることができます。
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