労働実務事例
[ 質問 ]
当社は、基本給と出来高給を組み合わせた賃金体系を採っています。賃金総額としては、もちろん、2年連続で大幅に引き上げられた最低賃金水準を優にクリアしています。しかし、基本給だけでは不足すると社内で指摘する声もあります。出来高給を除外して、固定給部分のみで比較する必要があるのでしょうか。
島根・I運輸
[ お答え ]
平成20年7月から施行されている改正最低賃金法および施行規則では、会社が支払う賃金が最低賃金を上回っているか否か、比較する方法を定めた規定にも修正が加えられています。しかし、出来高給の考え方に、基本的な変更はありません。
最低賃金法本体では、「出来高払制その他の請負制については、時間(時間、日、週または月)以外のものによって最低賃金を定めることができる」(旧第4条第2項)旨の規定が削除されました。
施行規則では、最低賃金額が時給表示に一本化されたのに合わせ、必要な文言の見直しが実施されています(新第2条)。時給表示の最低賃金額が基準なので、「時間以外の期間または出来高払制その他の請負制によって定められている賃金」も時給に換算するだけで、比較が可能です。ですから、以前に比べると、条文もすっきりと分かりやすくなりました。
最低賃金額と比較する場合、「固定給だけが対象になるのか」というご質問ですが、安定度という面で変動給に不安が残るのは確かでしょう。しかし、最低賃金との比較に「算定しない賃金(除外すべき賃金)」は、次のとおり定められています(最賃法第4条第3項、施行規則第1条)。
・臨時に支払われる賃金
・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
・時間外・休日・深夜割増賃金等
・精皆勤手・通勤手当
・家族手当
変動給は除外賃金に含まれないので、時給に換算し、基本給(こちらも時給換算)と合算したうえで、最低賃金額と比較します。
変動給は、「出来高払制・請負制の賃金総額を、総労働時間で除して」時給に換算します。
対象になるのは所定労働時間ではなく、「出来高払制・請負制によって労働した総労働時間数」で、その月によって変動します。基本給(月給)部分は、「その金額を月における所定労働時間(月によって異なる場合は1年間の1月平均所定労働時間)で除して」時間当たりの金額を算出します。
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