労働実務事例
[ 質問 ]
改正最低賃金法が、平成20年7月から施行されています。身体障害者等の場合、「最低賃金の特例申請」(減額申請)が可能になり、減額率は施行規則で定められました。しかし、施行規則の文言をみても意味がよく分かりません。最低賃金の減額率はどのように計算するのでしょうか。
神奈川・P社
[ お答え ]
改正前の最低賃金法第8条では、次に該当する人については、「都道府県労働局長の許可を受けたときは、最低賃金を適用しない」と規定していました。
① 精神・身体障害により著しく労働能力の低い者
② 試の使用期間中の者
③ 一定の職業訓練等を受ける者
④ 所定労働時間の特に短い者
⑤ 軽易な業務に従事する者
⑥ 断続的労働に従事する者
労基署長経由で「適用除外申請」をしますが、申請書には「支払おうとする賃金額」を記載する欄が設けられていました。どの程度の賃金を申請すれば認められるのか、法律上、明文の規定はありませんでしたが、実務上の基準は存在しました。
平成20年7月1日以降、身体障害者等の扱いについては、「都道府県労働局長の許可を受けたときは、施行規則第5条で定める率を乗じて得た額により最低賃金を適用する」(改正法第7条)という規定に改められました。なお、この減額特例の対象は前記の①から③および⑤、⑥で、④は対象から除かれています。改正法により、最低賃金は「時給表示」に統一されたので、「所定労働時間の短い者」に関して特例を設ける必要がなくなったからです。
「減額率」に関して、施行規則第5条でどのように規定しているかみてみましょう。
試の使用期間中の者については、「100分の20以下」と分かりやすく定められています。しかし、その他の者に関する規定は、ちょっと難解です。
たとえば、精神・身体障害者について、減額率は「障害者と類似業務に従事する労働者であって、最低位の能力を有するものの労働能率の程度に対する障害者の能率の程度に応じた率を100分の100から控除して得た率」と規定されています。
最低位の能力を有するものの能率=X
障害者の能率=Y
とすると、減額率は「100%-Y/X」となります。
たとえば、健常者(最低位の能力の者)と比べると、障害者の仕事振りが70%程度だったとします。減額率は、「100%-70%=30%」となります。ですから、最低賃金も3割カットが認められるという結論になります。これは、従来の実務上の基準と同じ考え方です。
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