労働実務事例
[ 質問 ]
当社では労働組合と協議のうえ、時間外労働の割増賃金率を3割と定めています。この場合も、月60時間超の割増賃金率は5割で差し支えないのでしょうか。代替休暇制度を導入する際、法定と異なる割増率を定めている会社では、有利・不利どちらに作用するのでしょうか。
高知・W社
[ お答え ]
時間外労働が発生した際には、「政令で定める率以上」で計算した割増賃金を支払う義務があります(労基法第37条第1項)。
「割増賃金率の最低限度を定める政令」(平6年政令第5号)では、最低基準となる率を2割5分増しと規定しています。
改正労基法が施行(中小は当面適用猶予)され、時間外が1カ月60時間を超えるときは「5割増し以上の率で計算した割増賃金」を支払う必要があります。
割増賃金率は、60時間以下2割5分増し以上、60時間超5割以上の基準をクリアしていれば必要十分で、両者の差が2割5分増しあるか否かは関係ありません。
代替休暇制度を導入する際、労使協定で「換算率(60時間超の割増賃金率-60時間以下の割増賃金率)」を定めます(労基則第19条の2第2項)。
法定どおりなら換算率25%(50%-25%)ですが、貴社では20%(50%-30%)になります。
換算率20%の場合、「代替休暇として与えることができる時間数」は、「1カ月60時間を超えて時間外労働をさせた時間数に20%を乗じて得た時間数とする」と定めることになります。たとえば、60時間を超え20時間の時間外が発生したとき、20時間×20%=4時間の代替休暇を付与できます。この20時間については、割増賃金率30%(貴社の規定)を適用すれば足ります(5割支払う必要なし)。
代替休暇の付与で軽減された割増賃金額は、時間単価をAとすれば、20時間×A×20%=4Aです。これに対し、4時間の「有給」の代替休暇にも4時間×A=4Aの賃金を支払います。労使どちらが有利ともいえません。
換算率が25%(法定どおりのケース)以外の数値である場合も、代替休暇を与えることで縮小した割増賃金と代替休暇の賃金は常に等しくなる仕組みとなっています。
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