労働実務事例
[ 質問 ]
当社の労働組合は、以前から、「『宿直勤務』の時間数を含め時間外・休日(36)協定の上限を超えない」よう求めていました。今回の労基法改正で問題が再燃していますが、「宿直勤務と時間外労働の合計が仮に60時間を超えても、宿直手当の計算に影響はない」という理解で正しいのでしょうか。
徳島・R社
[ お答え ]
労基署長から宿直・日直に関する許可を受けた場合、労基法上の労働時間・休憩・休日の規定は適用されません(労基則第23条)。宿日直は監視・断続業務(労基法第41条第3号)に含まれると解されています(昭35・8・25基収第6438号)。
一般の断続業務の場合には、「断続労働と通常の労働が1日の中において混在し、または日によって反復する場合には、断続労働に該当しないから、許可すべき限りでない」(昭63・3・14基発第150号)という考え方が示されています。1人の労働者が、断続業務と通常労働に同時に従事するということはありません。
一方、宿日直は「本来の業務外に付随的に従事する場合を含む」という趣旨ですから、個々の従業員ごとに宿日直時間と通常の労働時間の両方が発生します。宿日直時間も時間外労働も、本来業務の所定内労働時間とは別枠です。
しかし、36協定について規定する労基法第36条も「労基法第4章の労働時間に関する規定」に含まれるので、宿日直勤務への適用はありません。
通常の時間外労働のトータルが36協定の上限を超えなければ適法で、両者を通算する必要はありません。
宿日直時間と時間外労働の合計が60時間を超えるか否かに関係なく、宿日直時間には所定の賃金を支払えば足ります。「宿直勤務1回の手当(深夜割増賃金を含む)は、宿日直に就く予定の同種労働者に支払われる賃金(割増賃金の基礎となる賃金に限る)の1人1日平均額の3分の1を下らない」ことが許可基準とされています(昭22・9・13基発第17号)。
原則的には、同一(同質)の宿日直勤務に対し、事業場単位でシングルレートの手当額を定めます。基本給等の高低に応じて段階的に金額設定する場合も、少なくとも、一番賃金の安い人を対象にして、前記「3分の1基準」を上回る手当額を支払わなければいけません。
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