労働実務事例
[ 質問 ]
時間外・休日労働(36)協定ですが、必ずしも1年単位で結ぶ必要はなく、3カ月単位で反復する方法も可能という情報を耳にしました。本当なら、年間120時間×4回=480時間の時間外労働が可能になりますが、どうもマユツバものという気がします。法的な解釈は、どうなっているのでしょうか。
大阪・N社
[ お答え ]
別に通常枠の年協定が必要です。36協定では1日および1日を超える一定の期間の延長時間を定めます(労基則第16条)。一定期間は、「1日を超え3カ月以内の期間」と「1年間」の2とおりを協定します(「労働時間の延長の限度に関する基準」平10・労働省告示第154号)。
普段、残業なしの事業場で、一定の時季だけ時間外労働に従事させる必要が生じた場合も、1日・3カ月以内の期間・1年の3種類の時間を協定して届け出ます。
1年間についての延長時間は必ず定めなければならない仕組みとなっているため、36協定の有効期間は、原則として「最も短い場合でも1年間となる」(平11・3・31基発第169号)と説明されています。1年以上であれば何年でもよいかというと、「定期的に見直す必要があるため、1年間とすることが望ましい」と解されています。
しかし、同じ行政解釈の中で、1年以外の2種類の期間(1日および3カ月以内の期間)について定める有効期間までも「すべて一律に1年間としなければならないこととしたものではない」と述べています。その後に、「3カ月の有効期間を定めた36協定を届け出た場合であって、1年間、間断なく3カ月の協定を繰り返すときは、3カ月が経過するまでに再び届け出ること」という趣旨の文言が続きます。
1年間の協定を届け出る代わりに、3カ月の協定を年4回届ける方法も可能という意味です。しかし3カ月の限度時間が120時間(1年単位変形制は110時間)ですから、時間外労働の枠が120時間×4回=480時間(110時間×4回=440時間)に広がるわけではありません。
1年以外の2種類の期間について、3カ月の協定を結んでも、それとは別個に1年単位の協定が必要となり、協定の枠は360時間(1年単位変形制は320時間)に制限されます。
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