労働実務事例
[ 質問 ]
ワークライフバランス実現の一環として、1年単位変形制の導入を検討しています。1年単位変形労働時間制の場合、清算期間が終了しないと時間外労働数が確定しないといいます。最終月に至ってまとめて割増賃金の支払いが必要になり、会社のキャッシュフロー上問題が生じないでしょうか。
福岡・D社
[ お答え ]
労働時間制度の設定改善は、生活と仕事の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現する有効な手段です。「労働時間等見直しガイドライン(平20・厚生労働省告示第108号、平21・5・29改正)でも、1年単位変形制等の利用を呼びかけています。
1年単位変形制では、「1カ月を超え1年以内の期間を平均して1週間当たり40時間を超えない範囲内において、法定労働時間を超えて労働させる」(労基法第32条の4)ことができます。前半の所定労働時間が長くても、後半を短く設定すれば、埋め合わせ可能です。
1年単位変形制では、「法定労働時間の総枠を超える労働が行われたか否かは、変形期間終了まで確定しない」(平9・3・25基発第195号)という結論になります。
このため、前掲通達では、「総枠を超える割増賃金の支払い時期」に関する問に対し、「変形期間終了直後の賃金支払期日に支払えば足りる」と回答しています。
例外として「変形期間の終了を待たずに総枠を超えた場合についてはこの限りではない」ので、1カ月前に一部を支払う可能性もあり得ます。
ただし、1年変形制で時間外労働が発生するのは、「1年の総枠を超える時間」だけではありません。次の2パターンの時間も、割増賃金の支払いが必要です。
① 所定労働時間8時間超と定めた日はその所定労働時間を超えた時間、8時間以内の日は8時間を超えた時間
② 所定労働時間40時間超と定めた週はその所定労働時間を超えた時間、40時間以内の週は40時間を超えた時間(①の時間除く)
1年の総枠を超えた時間は、①②を除いた時間に限って割増賃金の支払いを要します。通常は、①②の定義により時間外として確定される部分がほとんどで、清算期間終了後に一括処理される部分は大きくありません。
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