労働実務事例
[ 質問 ]
当社では半日単位年休制を導入する際、労働協約で要件等を明確化しました。労基法の改正により、平成22年4月1日からは時間単位年休制度の導入が可能となりました。当社の場合、既存の労働協約を改定すれば足りるのでしょうか。
山口・S社
[ お答え ]
時間単位年休制度を導入するときは、過半数労組(ないときは過半数代表者)と次の事項に関する協定を結びます(労基法第39条第4項、労基則第24条の4)。
① 対象労働者の範囲
② 時間単位年休を与えることのできる日数(5日が上限)
③ 有給休暇1日の時間数(1時間未満の端数切上げ)
④ 1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
半日単位年休制の場合、使用できる日数の法的上限はなく、労使が自由に設定できます。しかし、時間単位年休制では、5日が限度と定められています(前記②)。
半日単位年休制の半日の境目に関しても、法的な制限は設けられていません。例えば、午前3時間半就労、1時間休憩、午後4時間就労という会社では、休憩時間の開始・終了を半日の境目としているのが一般的です。
しかし、時間単位年休制の場合、1時間未満の端数が出る形で年休を与えることはできません。
このため、所定労働時間7時間半の会社では、労使協定で有給休暇1日の時間数を8時間と定めることになります(前記③)。8時間の時間単位年休を取得して、はじめて1日分の年休を消化したものとみなします。
時間単位年休制は、既存の半日単位年休制とは要件が異なります。年休の取得単位が短くなっただけではありません。
ですから、行政解釈(平21・5・29基発第0529001号)でも、「年休の半日単位付与については、本来の休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおいて問題がないものとして取り扱い、この取扱いに変更はない」と述べています。
貴社で過半数労組と労働協約を結べば、時間単位年休の導入が可能ですが、既存協約を改定する場合も法定事項をカバーする必要があります。半日単位年休制の利用希望者もいるはずですから、既存の規定はそのまま残すべきでしょう。
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