• HOME
  • 労働実務事例

労働実務事例

提供:労働新聞社

このエントリーをはてなブックマークに追加

年休より代休取らせたいが、どちらの請求が優先か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では、残業が一定時間を超えると代休を取得できる仕組みとなっています。先日、代休を取得する権利と年休の両方を持っている社員から年休の請求がありました。代休が何日もたまっているのですが、請求どおり年休を取らせるべきなのでしょうか。

千葉・E社

[ お答え ]

 代休とは、休日労働や長時間の時間外労働などが行われた場合に、その代償措置として以後の特定の労働日の労働義務を免除するものです。現に行われた休日労働や時間外労働がこのような代休を与えることによって、休日労働、時間外労働でなくなるものではありません(昭63・3・14基発第150号)。
 代休は、法律上与えることを義務付けられたものではなく、労働協約、就業規則の根拠規定にしたがって行うか、または労働者の個別的同意によって代休の付与を求める権利が生じます。法律上、休日労働に対して代休を与える必要はなくても、就業規則などの定めによって代休を与えることは望ましいことです。
 残業や休日労働に対して、就業規則などの定めに基づいて与える休日ですので、できる限り休日労働などに近接した日に取得させる必要があるでしょう。代休を与える場合にも、時間外や休日の労働に対しては割増賃金を支払わなければなりませんから、代休を優先的に取得させても残業代の削減にはなりません。ただし、代休付与の基礎となった残業や休日労働に対して、割増部分を除く賃金が支払われている場合には、代休を取得した日については無給としても差し支えありません。
 ご質問のケースでは、たとえば就業規則に「休日出勤から○週間以内に代休をとることができる」という定めがあり、その後代休を取ることができるのに年休の請求があった場合はどうすべきかということです。
 まず、代休が取れるという理由があるからといって、年休を拒否し会社が一方的に代休にすることはできません。請求どおり、年休を与えなければなりません。労働基準法第39条第4項では、「使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」と規定し、例外として「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」として、使用者の時季変更権を認めています。
 年休ではなく代休を優先させたいという理由だけでは、事業の正常な運営が妨げられるとはいえません。時季変更権は行使できず請求どおり年休を与えなければならないということになります。
 そこで、貴社としては労働者の仕事の進捗状況をみながら、管理者などが代休の取得日を指定する制度を設けて、取得を促進してみてはいかがでしょうか。



労働新聞社について

閲覧数(8,057)

キーワード毎に情報を集約!

絞り込み検索!

現在636事例

カテゴリ

表示順

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP