労働実務事例
[ 質問 ]
労基法の改正に伴い、年次有給休暇を時間単位で付与することが可能になったと聞きました。当社の所定労働時間は、7時間30分です。1日分すべてを時間単位で与えた場合、どのように計算すればよいのでしょうか。30分刻みの年休を与える必要がありますか。
富山・J社
[ お答え ]
年休の付与について、労基法第39条では、「継続しまたは分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」と規定しています。一方、企業によっては、「半日年休」を認めているところも少なくないでしょう。しかし、労基法第39条に規定する年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない(昭63・3・14基発第150号)とする通達があります。
「半日年休」は法で義務づけられたものではありませんが、本来の年休取得の阻害とならない範囲で適切に運用されている限り、問題はないとされています(平7・7・27基発第33号)。
時間単位年休を与える場合には、使用者は、事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)との書面による協定により、①対象労働者の範囲、②5日以内で時間を単位として与える年休日数などを定めなければなりません。
「5日以内」とは、労働者が与えられる年休のうちの5日以内をいうものです。比例付与により5日に満たない者については、労使協定で、比例付与される日数の範囲内で定めることとしています。年休を取得できなかった場合は、次年度に繰り越されますが、時間単位付与の日数は、繰越分も含めて5日の範囲内となります(平21・5・29基発第0529002号)。
また、1日分の年休が何時間分の時間単位年休に相当するかについて定めなければなりません(労基則第24条の4第1項)。同条のカッコ書きでは、「1日の所定労働時間数を下回らないものとする」と規定しています。1日の所定労働時間が8時間であるならば、1時間×8でもよいですし、あるいは時間単位を1時間以上に設定することも可能です(同条第2号)。
ご質問のように、所定労働時間が7時間30分というケースを考えてみますと、「30分」という1時間に満たない端数があります。これについては「1時間に満たない時間数については、時間単位に切り上げる必要がある」とされています(前記通達)。つまり、このように所定労働時間が7時間30分の事業所においても時間単位の年休の時間数については1日8時間で以上与える必要があるということになります。
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