労働実務事例
[ 質問 ]
夫が遠隔地で再就職するため、別居するか、退職して家族そろって転居するか、選択を余儀なくされている女性従業員がいます。仮に退職を選択した場合、雇用保険の基本手当を受給する際、優遇措置が適用されるのでしょうか。
平成21年4月の雇用保険法改正が、何か影響を及ぼしますか。
兵庫・C社
[ お答え ]
自ら退職を申し出た場合でも、「正当な理由」に基づくときは、基本手当の給付制限(1カ月以上3カ月未満)はかかりません(雇用保険法第33条)。
正当な理由の一つとして、「配偶者の転勤・出向・再就職に伴う別居を回避するため」が挙げられています。
給付制限が課せられないだけでなく、受給資格の有無の判定・所定給付日数の決定に際しても、一定の優遇措置が講じられています。
従来(平成21年3月31日の改正雇用保険法施行前)は、「当分の間、正当な理由による離職者は、解雇その他の理由による離職者(特定受給資格者)とする」(雇用保険法施行規則附則第3条)という暫定措置の対象となっていました。ただし、正当な理由による離職者でも、離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上ある(基本手当の原則の受給要件を満たす)ときは、一般の離職者扱いとすると定められていました(被保険者期間6カ月以上12カ月未満のときのみ特定受給資格者となります)。
特定受給資格者とは、「離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あれば、基本手当の受給資格を取得し、所定給付日数も手厚い離職者グループ」を指します。
改正法の施行後は、雇用保険法第33条に基づく離職者は、「特定理由離職者」(同法第12条第3項)となります。特定理由離職者は、「離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上あれば、基本手当の受給資格を取得」できますが、本法の規定上、所定給付日数の優遇はありません。
現在のところ暫定措置で、特定理由離職者の一部を特定受給資格者とみなして、所定給付日数を増やす特例が設けられています(雇用保険法附則第4条)。「正当な理由」に基づく離職者については、「被保険者期間6カ月以上12カ月未満で受給資格を得た者」に限って、特例(暫定措置)の適用を受けます。
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