労働実務事例
[ 質問 ]
60歳定年を迎える社員がいて、再雇用を選択するか、そのまま退職するか迷っています。退職による損得を色々聞いてくるのですが、「退職すると、奥さん分の年金の保険料を払う義務が生じる」という説明にクビを傾げています。当方の説明に誤りはないと思いますが、いかがでしょうか。
秋田・I社
[ お答え ]
年金の基礎知識のない退職者のために、基本的な点からご説明しましょう。サラリーマンの世界では、「専業主婦は年金の保険料を払う必要がない」のは、いわば常識です。お尋ねにある方も、今まで、奥さんの年金保険料を払わないのを当たり前と考えて、疑ったことがなかったのではないでしょうか。
奥さんが働いていない、あるいは所定労働時間の短いパートで厚生年金保険に加入していない場合、国民年金の保険料を払っていない理由としては、次の2つが考えられます。
第1は、「奥さんが国民年金の第3号被保険者となっているから」です。国民年金保険法第7条では、国民年金の被保険者を次の3通りに区分しています。
第1号 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号、第3号に該当しないもの
第2号 被用者年金各法の被保険者等
第3号 第2号被保険者の配偶者で、第2号被保険者により生計を維持される20歳以上60歳未満のもの
ご主人が正社員などとして働き、厚生年金の被保険者である場合、専業主婦である妻などは国民年金の第3号被保険者になります。
第2号、第3号被保険者は、「保険料を納付することを要しない」(国民年金法第94条の6)と定められています。
第2は、奥さんが専業主婦等であるけれど、20歳未満または60歳以上で、「国民年金の第1号、第3号のどちらの被保険者にも該当しない」からです。被保険者でないのですから、もちろん、保険料の支払いもありません。
ご主人が退職し、第2号被保険者資格を喪失した場合、保険料の扱いはどうなるのでしょうか。ご本人は、60歳に到達しているので、第1号被保険者になることはなく、保険料の支払い義務は発生しません。
奥さんが第3号被保険者であるケースでは、夫が第2号被保険者でなくなり、ご自分は20歳以上60歳未満ですから、第1号被保険者になります。つまり、奥さんは、第1号被保険者として、保険料を納める義務を負います。
奥さんが年上で、すでに60歳以上であるケースでは、夫が退職しても事情は変わりませんから、保険料の納付は必要ありません。
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