労働実務事例
[ 質問 ]
従業員の奥さんからの質問です。老齢基礎年金の繰下げ支給を予定していたのですが、健康に自信がなくなり、受給を早めたいということです。繰下げは1カ月単位で可能と聞くので、65歳6カ月から受給開始という選択もできるのでしょうか。
岡山・M社
[ お答え ]
老齢基礎年金は、65歳到達月(65歳以降に資格期間を満たすようになったときはその月)の翌月から支給されます。しかし、本人の申出により、支給時期の繰上げ・繰下げも可能です。
繰上げを選択すると、繰上げの月数に応じて年金額が減額され、本来の支給年齢に達した後も、減額後の年金が支給されます。65歳まで受給を待てないという人は、繰上げも一つの有力な選択肢となります。一方、支給を繰り下げれば、繰下げの月数に応じて年金額がアップします。しかし、繰下げにより年金の増額を図っても、受け取る月数が少なくなるので、有利か不利かは一概にいうことはできません。
繰上げによる減額率・繰下げによる減額率を、1歳刻みで示したのが別掲です。月単位での減額率・増額率は次の算式に従って計算します。
減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数
増額率=0.7%×受給権発生月から繰下げ申出月の前月までの月数
ただし、繰上げは「60歳以上65歳未満である者」が請求可能(国民年金法附則第9条の2)ですが、繰下げは「66歳に達する前に老齢基礎年金を請求していなかった者」が対象になります(国民年金法第28条)。ちなみに、老齢厚生年金は「受給権を取得してから1年を経過した日前に請求していなかった者」という文言になっています(厚年法第44条の3)。
ですから、66歳に達する前に繰下げ受給することはできません。お尋ねのケースでは、65歳6カ月で老齢基礎年金の裁定請求をすることになりますが、これは裁定時期の遅れとみなされます。年金額の増額はなく、それまで受け取っていなかった年金はさかのぼって支給されます。
閲覧数(4,179)
キーワード毎に情報を集約!
現在636事例
※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。
お知らせ
2024.4.22
2023.11.1
2023.8.7
スポンサーリンク
スポンサーリンク
[2022.7.24]
[2019.11.12]
[2018.10.10]
スポンサーリンク