労働実務事例
[ 質問 ]
労働基準法でも労働安全衛生法や労災保険法でも、法条文を読んだだけでは不十分で、どうしても厚生労働省の出している通達なども読む必要があります。そこで、それらの文を読むと、標題のはじめに年月日とともに「基発第○○号」とあります。この最初の「基発」などという文字は何を示しているのか不明です。そこでそれらについて説明してください。
福島・M生
[ お答え ]
文書には、それが出された年月日と、それをだれが出したか明らかになる基発などの一種の記号が記入されています。安全衛生や労災保険に関係するものは以下のとおりです。
以上は主たる文書だけですが、これらの文書はよく一括して「通達」と呼ばれることがあります。
しかし、国家行政組織法第14条第2項の規定によりますと、各省大臣、各委員会および各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令または示達するため、所管の諸機関および職員に対し、訓令または通達を発することができるとあります。そうすると通達はここで示されている大臣などでないと発することができないかというと、そうでもないと考えられます。指揮命令権の有無が問題なのではないでしょうか。例えば都道府県労働局長は、管下の労働基準監督署長に対して指揮命令ができます。労働基準法第99条第2項には、「都道府県労働局長は、労働基準主幹局長の指揮監督を受けて、管内の労働基準監督署長を指揮監督し、」とありますから、署長に対して通達を発することができます。
では、先に列挙しました文書は、厳密にいうと「基発」だけが通達ということになります。
例えば「基安発」を発する労働基準局安全衛生部長は、都道府県労働部長以下に対する指揮命令権があるとは労働基準法はもとより労働安全衛生法にも書いてなく、その職名さえも登場しません。そうすると基安発の文書は通達とはいえないようですが、その威力の程は労働基準局通達である基発に比較しても劣りません。ですから通達と称してもよいかもしれません。
では、基安安発以下の文書はどうでしょうか。これらも「通達」と呼んでよいでしょうか。これは課長が発したものです。課長は実質的な権力は大きいかもしれません。
しかし、この課長の発した文書は、以前は事務連絡という名称で呼んでいるもので、通達ということはできないでしょう。しかし、その実質的な威力は通達に比肩するものであることはもとより、労災補償部長や安全衛生部長の文書にも劣るものではありません。なお、最近では、事務連絡は課長ではなく補償課で出しているものが多いようです。
会議について
以上に述べた各文書は、上の人が出す文書ほどその内容が重要なもので、下の人が出すほどその内容が部分的な説明になってきます。会議をみるとよく分かります。
民間に限らず役所でもよく会議が行われます。全国的なものとしては都道府県労働局長会議や部長や課長の会議があります。
その場合には厚生労働省の本省側では、集まる人により大臣以下の幹部が出席して話します。この場合に本省局長は「訓示」、課長は「指示」、課長補佐は「説明」です。しかし課長以下であっても中央労働基準監察監督官や中央労災補償監察官の話は、課長と同じように「指示」です。それぞれどうしてそんなように使い分けするか考えてみられたらどうでしょうか。そうすればいろいろほかのことを考える場合にも参考になるかもしれません。
ある官庁の職員録を作成していた出版社が、職員1人の順位(何万人中の)を誤って、その全部を刷り直しをしたということを聞いたことがありますが、おそろしいことですね。
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