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労働実務事例

提供:労働新聞社

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車両系建設機械を用いる混在作業の安全対策は?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社は、建設業を営んでおり、複数の下請負人の労働者が車両系建設機械等を用いて行う仕事を共同して実施しています。この複数の下請負人の労働者と共同して仕事を進めるに当たって、労働安全衛生法上、労働災害を防止するためにとるべき措置についてご教示下さい。

京都・T社

[ お答え ]

 車両系建設機械等を用いる仕事では、車両系建設機械等を運転する作業およびその関連作業を、異なる事業者の労働者が分担して行う場合が多くみられます。このような形で作業が行われる場合において労働災害を防止するためには、関係事業者の間において連携を密にすることが必要です。
 このため、安衛法では、建設業の仕事を行う複数の事業者の労働者が一の場所において一定の車両系建設機械等に係る作業(「特定作業」といいます)を行う場合において、当該一定の車両系建設機械等を用いる仕事全体を統括している者は、当該場所において特定作業に従事するすべての労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならないこととされています(同法第31条の3第1項参照)。
 これは、複数の事業者の労働者が一定の車両系建設機械等を用いる仕事を共同して行う場合に、その仕事全体の安全を確保するという立場から必要な措置を講ずる事業者がいないために、十分な連携がなく、車両系建設機械等の運転およびその関連作業を行う労働者が車両系建設機械等に接触するなどの災害が発生しているという状況を踏まえて規定されたものです。
 安衛法第31条の3による措置を講ずべき者は、一の場所において一定の車両系建設機械等に係る作業(特定作業)を共同して行う複数の事業者のうち、当該特定作業に係る仕事を自ら行う発注者または当該特定作業に係る仕事の全部を請け負った者で、特定作業に係る仕事の一部を請け負わせているもの(「特定発注者等」といいます)です。すなわち、特定作業に係る仕事の一部を自ら行い、その一部を請け負わせている事業者であって当該特定作業に係る仕事を行う複数の事業者のうち、仕事全体を統括している者がこれに該当します。
 なお、建設業に属する事業者でこれに該当する者であれば、元方事業者も本条の義務者となります。
 一定の車両系建設機械等とは、①機体重量3トン以上のパワー・ショベル、ドラグ・ショベルおよびクラムシェル、②くい打機、くい抜機、アース・ドリルおよびアース・オーガー、③つり上げ荷重3トン以上の移動式クレーンです(安衛則第662条の5)。
 特定発注者等は、①のパワー・ショベル等を用いて荷のつり上げに係る作業を行うとき、または②若しくは③のくい打機、移動式クレーン等に係る作業を行うときは、当該特定発注者等とこれらの作業を行う請負人との間および当該請負人相互間における作業の内容、作業に係る指示の系統および立入禁止区域について必要な連絡および調整を行わなければならないこととされています(安衛則第662条の6~第662条の8)。
 特定発注者等が車両系建設機械等を用いる作業に関してその請負人の労働者を含めて、作業の内容、作業に係る指示の系統および立入禁止区域を含む作業計画を定め、関係請負人に周知している場合は、法第31条の3の措置を講じていることになります(平4・8・24基発第480号)。
 次の図のように、これらの車両系建設機械等を用いる仕事を複数の請負並列の請負人が担当する場合には、前記の措置を講ずべき者がいないため、当該場所において行われる特定作業に係る仕事の全部を請負人に請け負わせている元方事業者等は、前記の措置を講ずる者を指名するなど、当該場所において特定作業に従事するすべての労働者の労働災害を防止するため必要な配慮をしなければならないこととされています(安衛法第31条の3第2項)。



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