労働実務事例
[ 質問 ]
まもなく、製造派遣の受入制限期間3年が経過します。基本的には、派遣社員を直接雇用に切り替える方針です。派遣法をみると、「派遣労働者を雇用する努力義務」と「雇用の申込み義務」の2種類の規定がありますが、会社としてはどのように対応すればよいのでしょうか。
三重・A社
[ お答え ]
通常は、受入制限期間の満了と同時に派遣契約も終了する形になっているはずです。しかし、前倒しで直接雇用に切り替える方針の会社もあるでしょう。
派遣元は、「(派遣受入期間の制限に)抵触する日の1カ月前の日から前日までに、抵触日以降派遣を行わない旨を派遣先に通知」します(派遣法第35条の2第2項)。派遣先は、通知を受けた場合、「抵触日以降継続して派遣労働者を使用しようとするときは、抵触日の前日までに雇用の申し込みをする」義務を負います(同第40条の4)。
申し込む相手は「雇用されることを希望する者」ですが、一般的には会社が打診しない限り、希望を表明する人は少ないでしょう。このため、「派遣労働者が希望を申し込んでいる場合は明らかであるが、申し込んでいない場合も、派遣先が義務を果たすために、自ら希望の有無を確認することにより把握しなければならない」(派遣事業関係業務取扱要領)という扱いとなっています。
派遣先が雇用申込みを行わず、抵触日以降も派遣労働者の使用を続ければ、厚生労働大臣による指導・助言(派遣法第48条)、勧告・公表(同第49条の2)の対象となります。
一方、3年等に達する前に、たとえば派遣労働者の契約更新時期等に前倒しで派遣を打ち切る際には、当然、派遣元から派遣先への「抵触日到来に関する通知」はありません。派遣先に申込み義務はありませんが、「1年以上派遣労働者を受け入れ、派遣実施期間後に労働者を直接雇用しようとするときは、派遣労働者を雇い入れる」努力義務(派遣法第40条の3)が発生します。
対象となるのは、①派遣実施期間継続してその業務に使用、②直接雇用の希望を申出、③派遣終了後7日以内に派遣元との雇用関係が終了という条件を満たす派遣労働者です。期間途中で派遣労働者が代わったり、業務が変更されたりすれば、努力義務も発生しません。
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