労働実務事例
[ 質問 ]
妊娠中の女性従業員から、「体調が思わしくないので、業務負担を軽減してもらえないでしょうか」と相談を受けました。当人には重要な案件を任せているので、担当ポストを降りてもらうほかない状況です。現部署で継続勤務する場合、定員の関係から「パートへの転換」しか考えられないのですが、問題あるでしょうか。
山形・I社
[ お答え ]
均等法では、妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止しています(第9条第3項)。「妊娠したから」「出産したから」といって解雇するのは論外ですが、その他、保護対象となるケースとして次のような事由が列挙されています(同施行規則第2条の2)。
① 通院休暇
② 坑内・危険有害業務の就業制限
③ 産前産後休業
④ 軽易業務への転換
⑤ 時間外・休日・深夜労働の免除
⑥ 育児時間
⑦ 妊娠・出産に起因する労働能率低下
労基法に基づく「軽易業務への転換」は、「新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない」(昭61・3・20基発第151号)という扱いとなっています。
しかし、⑦の「妊娠・出産に起因する労働能率低下」を理由として本人の希望に反する人事発令をすれば、均等法に抵触します。
⑦の内容については、「性別を理由とする差別の禁止指針」(平18・厚生労働省告示第614号)で「つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠・出産に起因して妊産婦に生じる症状」を理由とする労務不能・労働能率低下を指すと解説されています。
その他不利益取扱いの具体例も前掲指針に示されていますが、その中に「パートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要」が挙げられています。本人の同意を得るためには、たとえばパートタイム社員ではなく、正社員としての身分を保持したまま役割軽減・勤務時間短縮等を実施する仕組みを設ける方法(短時間正社員制度等)も考えられるでしょう。
「現在のポストから外れてもらう」点については、「降格」は禁止されていますが、「同列の職階ではあるが、以前と比較し権限が少ない職務への異動は降格には当たらない」と解されています(平18・10・11雇児発第1011002号)。
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