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労働実務事例

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社外労組との団体交渉拒否できるか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では特にユニオン・ショップ協定を結んでいませんが、労働組合は1つしか存在せず、各種労働条件はすべてその労組と交渉を重ねてきました。従業員の1人が外部組合に加盟し、そちらと団交してほしいと要求してきました。社外の労組と話合いは行わないと拒否できないでしょうか。

岡山・C社

[ お答え ]

 使用者が団体交渉を正当な理由なく拒めば、不当労働行為になります(労組法第7条第2号)。団体交渉のルールは、長年、交渉を重ねる中で形づくられ、労働協約の形で明文化されるケースも少なくありません。
 会社としては、多数の従業員を組織し、一定のルールを尊重する労働組合のみを交渉相手として指定したいところでしょう。しかし、労組法上、「雇用する労働者が2以上の労働組合に分かれて所属している場合には、それぞれの労働組合の代表者との交渉に応じる」義務があります(労組法コンメンタール)。「アメリカでは排他交渉代表制がとられているが、日本ではこのような制度はとられておらず、組合員をごく少数しか持たなくても団体交渉権を認められ」ます(菅野和夫「労働法」)。
 団体交渉の主体である「雇用する労働者の代表者」は、「直接に使用者と雇用関係を有する者であることを要しない」(昭25・5・8労発第153号)と解されています。
 大多数の組合員が社外の労働者により構成され、代表者が社外の人間であっても、労組法に基づく法適合組合である限り、団交を拒めば不当労働行為になります。
 ユニオン・ショップ協定とは、「採用された後は一定の労働組合に加入しなければならず、組合を脱退したら解雇する」旨を労使が約束するものです。組合脱退者は解雇されるのですから、組合員の対象になり得る従業員はすべて協定を締結した労組に属しているといったイメージを抱きがちです。しかし、判例では一般に「脱退・除名者が他労組に加入、または新労組を結成した場合には、ユニオン・ショップ協定の効力は及ばないと解しています。
 貴社ではユニオン・ショップ協定を締結していないということですが、社外の労組を除外するため、仮に協定を結び、さらに「当該組合を従業員の唯一の交渉団体と認める」等の条項(唯一交渉団体条項)を設けても無効です。



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