労働実務事例
[ 質問 ]
販売店店長のうち数人が労働組合を結成し、時間外割増の支払いについて交渉したいと申し入れてきました。当社は、店長は管理職に含まれるという立場を採っています。管理職は組合に入れないはずなので、労働組合からの交渉を受け入れれば、「店長は管理職でない」と認めることになるようで、心配です。どのように対応すべきでしょうか。
埼玉・T社
[ お答え ]
労組法では、消極的要件として「使用者の利益を代表する者の参加を許すもの」は労組の定義に該当しないと定めています(第2条第1号)。店長が、「職務上の義務と責任とが組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位」にあると判断されれば、労組法の保護を認められません(利益代表者も労働者である限り、憲法上の保護は享受できます)。
使用者の利益を代表する者の範囲は、客観的に定まっていて、理論的には、労使協定によってこれを左右することはできません(労組法コンメンタール)。
一方、労基法では、管理監督者を労働時間等の規定の適用除外対象と定めています(第41条第2項)。「管理監督者の範囲を決めるに当たっては、(社内)資格および職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要がある」(昭63・3・14基発第150号)と解されています。
こちらも、会社が一方的に(あるいは労使協定により)範囲を確定することはできません。
労働組合法の利益代表者、労働基準法の管理監督者に該当するか否かは、それぞれの法律の趣旨に沿って判断されます。両者の範囲はイコールではなく、「利益代表者でなければ(労組員であると認めれば)、直ちに管理監督者に該当しない」という結論が導き出されるわけではありません。
管理監督者に含まれる(時間外労働に割増が必要)か否かの問題と直接リンクしなくても、会社が「利益代表者に該当する」とみなす従業員が含まれていれば、それを理由に団交を拒否したいのが会社の本音でしょう。
しかし、前記のとおり、利益代表者の範囲は「労働委員会が有権的に決定する権限をもつ」(昭25・7・17労働組合課長内翰)ので、労働委員会が利益代表者でないと認めれば団交拒否には正当な理由がなく、不当労働行為の対象になります。
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