労働実務事例
[ 質問 ]
労基法では、特別条項を発動するときは「割増賃金率を25%超とする」努力義務を課しています。当労組との交渉で、会社側は「月45時間を超える部分のみ30%とするのはどうか」と提案してきました。1年360時間を超える部分は法定どおりの率で据え置くというのですが、果たして可能なのでしょうか。
【北海道・H労組】
[ お答え ]
時間外・休日労働(36)協定では、
①1日、②1日を超え3カ月以内、③1年
の3種類の期間を対象に時間外労働の限度を定めます。
②③については「時間外労働限度基準(平15・労働省告示第154号)」で上限が示されていますが、特別の事情(臨時的なものに限る)が生じた場合、その上限を超えて時間延長する旨を定めることも可能です。
時間外労働限度基準は平成22年4月1日から改正され、「限度時間を超える割増賃金率を定めるに当たっては、2割5分を超える率とするように努めなければならない」という規定が追加されました。努力義務ですから、法定どおりの率で据え置いても違法ではありませんが、特別条項の発動抑制という改正法の趣旨を踏まえ、労使が十分に協議すべきでしょう。
例えば、特別条項発動の要件を満たせば「1カ月45時間を超え80時間まで、1年360時間を超え540時間まで時間外労働可能」と定めたとします。1カ月45時間の勤務が8カ月間続くと360時間の限度に達するので、それ以降の時間外はすべて360時間を超える時間外(特別条項の対象)となります。9カ月目以降、すべての時間外を例えば、30%増しに引き上げるのは、経営側にとって抵抗があるでしょう。
厚生労働省の「質疑応答」では、上記②「1日を超え3カ月以内の期間」と③「1年間」の割増賃金率が異なる場合の取扱いを示しています。
回答では、「特段の定めがあればそれによるが、ない場合、一般的には、高い方の割増賃金率を適用する」と述べています。
月45時間超を30%の割増し、年360時間超は25%増し(据え置き)と定めた場合、前記例の9カ月目以降も(年360時間を超えても)、月45時間以内は25%増しの割増率となります。
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