労働実務事例
[ 質問 ]
当社では、長年、時間外割増の計算をする際、15分単位で処理してきました。仮に1カ月の残業が60時間と1分だったとします。当社規定によれば、7分未満は切捨て、8分以上は切上げ処理されるので、60時間の残業があったとみなされます。この状況は、「60時間を超えない」といえるのでしょうか。
【岡山・S社】
[ お答え ]
法定労働時間を超える労働は、「厳密にはたとえ1分でも割増賃金の支払いを要する」(菅野和夫「労働法」)のが原則です。
ただし、事務簡便のため、一定範囲で例外が認められています(昭63・3・14基発第150号)。
1カ月の時間外労働等の端数については、「1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げ」ても、労基法第24条(賃金の全額払い)、第37条(割増賃金の支払い)に違反しない取扱いとなっています。1時間という幅が最大限度ですから、それ以下の例えば15分単位の処理も認められます。
この端数処理は1カ月の累計が対象で、1日ごとの端数を把握し、記録する必要があります。
時間外労働が1カ月60時間を超えた場合、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければいけません(労基法第37条第1項。ただし、中小企業は適用猶予)。端数計算との関係については、厚生労働省の改正法Q&Aで「端数処理後の時間を対象として割増賃金率を適用する」という考え方が示されています(設問例は限度時間に関するものですが、60時間を超えるか否かについても別様に解する理由はありません)。
30分未満の端数が切捨てで5割の割増率適用の対象にならない場合もありますが、30分以上の端数が切り上げられ、1時間として取り扱われる場合もあり、「常に労働者の不利になるものではない」からです。
ただし、「労働時間としては実労働時間数で把握すべきなのは従前のとおり」(前掲のQ&A)なので、例えば時間外・休日労働(36)協定で定める1年の時間外限度(360時間等)を適用する際には、1カ月ごとの端数を残したまま、時間外労働時間数を累計していく必要があります。
この場合、1分でも超えれば違反になります。
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