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労働実務事例

提供:労働新聞社

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消滅時効は2年のはずだが時間単位年休も繰越しか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では、1日の所定労働時間を8時間としています。5日の時間単位年休の取得を認めたのですが、たとえば20時間のみ取得した場合、残りの20時間は時効にかかっていませんから、繰り越されると思うのですがどのように処理すればよいのでしょうか。

【和歌山・G社】

[ お答え ]

 時間単位の年次有給休暇は、過半数労働組合(ないときは過半数代表者)との労使協定の締結を前提として与えることができるものとされています(労基法第39条第4項)。労働者に1時間単位で休暇の取得をする権利を自動的に付与するものではありません。
 使用者側があくまで休暇は原則どおり「暦日扱い」に限るという管理方法をとるとすれば、労働者は時間単位の休暇の請求ができないことになります。時間単位の年休取得が認められなければ違法ということではありません。
 分かりやすく、入社6カ月を経過して年休が10日付与されたケースで考えてみましょう。時間単位年休として取得できるのは、「5日以内」となっています(労基則第24条の4)。ですから、少なくとも10日のうち5日については、請求は原則として「日」単位となります。
 年休の請求権は2年で時効消滅します(労基法第115条)。その年に付与されたものの、使わなかった未消化の年休は、翌年まで繰り越せます。
 しかし、当年に使用した時間単位年休が5日未満の場合であっても、翌年に付与できる時間単位の年休については5日を超えることはできません(平21・5・29基発第0529001号)。
 改正労働基準法の質疑応答(厚生労働省)によれば、「時間単位年休を取得できる部分の日数であっても、日単位で取得するか時間単位で取得するかは請求時の労働者の意思によるものである」としています。
 入社から1年6カ月経過後には、11日の年休が付与されます。ご質問のケースにおいて、20時間以外は年休を消化していないと仮定しますと、7日と4時間が翌年に繰越し可能となります。新たに取得した11日と合わせて年休の総日数は、18日と4時間です。
 端数である4時間についても当然繰り越されます。トータルで取得が可能な18日と4時間のうち、5日分について、時間単位の取得が可能ということになります。年休の消化は、労使間で特段の合意がある場合を除いて、繰越し分からなされるものと推定されています(労基法コンメンタール)。ですから、時間単位の年休についても、繰り越した4時間分から消化したものとするのが、年休管理のうえで分かりやすい方法といえます。新たに端数が発生すれば、それはまた翌年に繰り越されます。



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