労働実務事例
[ 質問 ]
管理監督者であっても、深夜労働に限っては割増賃金の規定が適用されます。当社では、所定外賃金の発生を避けるため、賃金規定で「所定賃金には、深夜割増賃金を含む」旨を記載しています。そのせいでしょうか、管理監督者の賃金台帳をみると、過去数年にわたって深夜労働時間数の記載がありません。申告の徹底を図る必要がありますか。
【青森・N社】
[ お答え ]
労働時間等に関する規定の適用除外対象として、次の労働者が規定されています(労基法第41条)。
① 農業・畜産業・水産業従事者
② 管理監督者
③ 監視・断続労働従事者
しかし、本条に定める労働者でも、「深夜業に関する部分は適用が排除されるものではない」と解されています。
一方、賃金台帳の記入事項の1つとして、「時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数」が定められています(労基則第54条第1項第6号)。法第41条に該当する労働者(前記の管理監督者、監視・断続労働従事者など)に関しては、労基則第54条第5項で「労働時間数、時間外労働時間数等は、記入することを要しない」と規定しています。
しかし、管理監督者等であっても「深夜業に関する規定の適用がある」ので、「深夜労働時間数は賃金台帳に記載するように指導されたい」という解釈例規が示されています(昭23・2・3基発161号)。
貴社のように「労働協約、就業規則等によって深夜割増を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合」には、割増を支払う必要がありません(昭63・3・14基発第168号)。だからといって、深夜労働時間数の把握義務が消滅するものではありません。
割増賃金を所定賃金に含む際には、「割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定額以上支払われていれば法に違反しない」というルールが適用されます(平12・3・8基収第78号)。深夜割増も同様に処理すべきです。
深夜割増賃金の支払い義務をめぐって法的争いが生じることも想定し、管理監督者に対しても深夜労働時間数の申告を求めるべきといえます。
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