労働実務事例
[ 質問 ]
障害厚生年金は、症状が軽快すると1級から3級へと支払い金額も下がっていきます。仮に、3級より軽くなったら、最後に障害手当金が支払われて、それでお終いになるのでしょうか。
【岡山・M社】
[ お答え ]
障害厚生年金は、初診日時点で被保険者だった人が、障害認定日に1~3級の障害等級に認定され、保険料納付要件も満たしている場合に支給されます。しかし、障害認定日以降も、障害の状態が変化し、従来の障害等級に当てはまらなくなるケースもあり得ます。
このため、「厚生労働大臣は、障害の程度が従前の等級以外に該当するときは、障害厚生年金の額を改定することができる」(厚年法第52条第1項)と定めています。
厚生労働大臣が等級を決定・改定した日から1年を経過した後は、「年金の受給権者は、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求」(同条第2項)できます。
障害等級が1級から3級の間に該当するときは、この仕組みにより年金額の改定が実施されます。しかし、症状が軽快して3級にも該当しなくなるケースもあります。この場合、直ちに年金の受給権を喪失するわけではありません。年金の失権事由は、次のとおり規定されています(厚年法第53条)。
① 死亡
② 障害等級に該当しなくなった者が65歳に達したとき(非該当となって3年が経過していないときを除く)
③ 障害等級に該当しなくなって3年が経過したとき(65歳未満であるときを除く)
65歳未満の人は、3年を経過した後も65歳に達するまでは年金の受給権を失いません。
3級に該当しなくなった時点では、年金の支給が停止されるだけです。年金を受け取れなくなった時点で、直ちに一時金の障害手当金は支払われません。
障害手当金は、「初診日から起算して5年を経過するまでの間で、傷病の治った日」に支給の有無を判定します(厚年法第55条)。
ただし、年金と手当金の間には、「併給調整」の規定が設けられています。「年金の受給権者」は、原則として障害手当金を受給できません(厚年法第56条第1号)。年金の支給が停止されていても、年金の受給権そのものは残っているので、併給調整の対象となります。
ただし、別の疾病による障害について、手当金の要件を満たす場合には「障害等級に該当しなくなった日から3年を経過した受給権者(現に障害等級に該当しない者に限る)」については、併給調整の規定は適用されません。
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