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労働実務事例

提供:労働新聞社

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有機溶剤を扱う小規模事業場では、健診結果の報告が必要か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 従業員が約20人の機械器具製造業を営んでいる会社です。有機溶剤の健康診断を実施した場合には、労働基準監督署への報告が必要と聞きましたが、当社のように従業員が少なくても健康診断の結果報告を行わなければならないのでしょうか。ご教示ください。

【神奈川・N社】

[ お答え ]

 労働安全衛生法は、
① 労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならないこと(安衛法第66条第1項)
② 有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、医師による特別の項目についての健康診断を行わなければならないこと(同条第2項前段)
③ 有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、②と同様に、医師による特別の項目についての健康診断を行わなければならないこと(同条第2項後段)
④ 有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、歯科医師による健康診断を行わなければならないこと(同条第3項)
等を事業者に義務づけています。
 これらの健康診断を実施した結果の報告については、次のようにされています。
① 労働安全衛生規則では、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、安衛則第44条(常時使用する労働者に対する定期健康診断)、第45条(一定の有害物を取り扱う業務、深夜業を含む業務等の特定業務の従事者に対する健康診断)または第48条(歯科医師による健康診断)の健康診断(定期のものに限る)を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労基署長に提出しなければならないとしています(安衛則第52条)。
② ご質問の有機溶剤を製造し、または取り扱う業務に係る健康診断について、安衛法では、前述の②に示す健康診断の1つとして、屋内作業場等一定の場所において労働安全衛生法施行令別表第6の2に掲げる有機溶剤を製造し、または取り扱う業務(有機溶剤中毒予防規則の適用除外認定を受けた業務を除く)に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際およびその後6カ月以内ごとに1回、定期に、特別の項目について健康診断を行わなければならないとし(有機則第29条)、この健康診断(定期のものに限る)を行ったときは、遅滞なく、有機溶剤等健康診断結果報告書を所轄労基署長に提出しなければならないとしています(有機則第30条の3)。
③ 以上のように、安衛則第44条、第45条または第48条の健康診断(定期のものに限る)を行った場合の定期健康診断結果報告書の所轄労基署長への提出は、常時50人以上の労働者を使用する事業者に限られていますが、有機溶剤等健康診断を行った場合の有機溶剤等健康診断結果報告書の所轄労基署長への提出は、事業場の従業員数に関係なく行わなければなりません。
 なお、健康診断結果報告を行う時期について、有機則第30条の3の「遅滞なく」とは、健康診断完了後(二次健康診断を行った場合は、その完了後)概ね1カ月以内をいうこと(昭53・8・31基発第479号)とされています。
 ちなみに有機溶剤だけでなく、特定化学物質や鉛、四アルキル鉛等を取り扱うなどの業務に係る健康診断については、従業員数に関係なく労基署長への健康診断結果報告の提出が必要です。



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