労働実務事例
「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。
[ 質問 ]
育児介護休業法の「パパ休暇」ですが、基本的には妻が産後休業中に男性が育児休業を取る制度と理解しています。しかし、法律の文言を比較すると、労基法上の産後休業とパパ休暇の期間が必ずしも一致するとは限らないようにも思えます。期間がずれても、問題ないのでしょうか。
【神奈川・O社】
[ お答え ]
育児休業をしたことがある労働者は、特別の事情がある場合を除き、再度の休業申出ができません(育介休業法第5条第2項)。
しかし、「出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例として再度取得を認める」仕組み(パパ休暇)が設けられています。
法律の規定上、「パパ休暇」は育児休業の取得実績に含めません。パパ休暇取得後も、1度も休業の申出をしたことのない労働者と同様に育児休業を取得できます。
労基法上、産後休業の期間は「産後8週間」と定められていて、起算日は「現実の出産日の翌日」になります。健康保険の出産手当金も「出産の日後56日間」が対象ですから、両者のカバーする期間は重なります。
一方、パパ休暇の期間は、次のとおり定められています。
① 出産予定日前に子が出生した場合は、出生の日から出産予定日を起算点として8週間を経過した日の翌日まで
② 出産予定日後に子が出生した場合は、出生予定日から出産の日を起算点として8週間を経過した日の翌日まで
①の場合、出生の日から8週間経過した日の翌日(産後8週間経過)に労基法上の産後休業が終了しますが、パパ休暇はその後も継続します。
②では、労基法上、出産予定日から出産当日は「産前休業」に含まれますが、育介休業法では「パパ休暇」として取り扱います。
育介休業法では、「出産予定日前に子が出生したとき」等には1回に限り休業開始日を前倒し変更できると規定しています(第7条第1項)が、先送り(後ろにずらす)はできません。終了日は1回に限り先送り変更できます(同条第3項)が、前倒しはできません。出産日が予定日と異なっても、育休の開始日・終了日を調整できないケースもあるので、パパ休暇の期間は産後休業より長めに設定されています。
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