労働実務事例
[ 質問 ]
当労組では、毎年3月の時間外・休日労働(36)協定の改定に合わせ、会社側に特別条項発動時の割増賃金率の引上げを要求するつもりです。しかし、一部の女性従業員から、「そもそも、女性には特別条項を発動しないよう協定してほしい」という要望が出されました。そのような取扱いが、可能なのでしょうか。
【熊本・G労組】
[ お答え ]
36協定に特別条項を付加すれば、「時間外限度基準」(平10・労働省告示第154号)で定める1月45時間、1年360時間等の限度を超えて労働時間を延長できます(前掲告示第3条)。
協定では対象となる業務の種類を定めますが、その際、「業務の区分を細分化することにより業務の範囲を明確にしなければならない」と規定されています(同第1条)。
「業務の種類ごとの時間外労働時間をきめ細かに協定」し、管理するのが目的です(平11・1・29基発第45号)。
ですから、複数の従業員グループ間で時間外上限数が異なっていても問題ありません。しかし、男性・女性というグループ分けは避けるべきです。
平成11年に施行された改正労基法では、女性保護規制が撤廃され、妊産婦を除き、女性も男性並みに時間外・休日・深夜労働に従事できるようになりました。女性の中にも、男性と同様に特別条項の上限いっぱいまで働きたい(働いてもいい)という人がいるはずです。そうした女性の希望を制限するような36協定は、法改正の趣旨に反します。特別条項の適用に消極的な女性に対しては、他の法規定による対応をアドバイスすべきでしょう。
従業員が小学校の始期に達するまでの子を養育している等の一定要件を満たせば、育児介護休業法に基づく時間外労働の制限を請求できます(平成22年6月30日から、改正法施行により所定外労働の免除請求も可能に。子は3歳未満が対象)。
妊産婦であれば、請求により時間外が免除されます(労基法第66条)。
請求は、「就業規則で手続きが定められることとなるが、必ずしも就業規則の手続きを踏むことが要件とされるものではなく、口頭による請求でも差し支えない」(労基法コンメンタール)と解されています。特別条項が発動される場合には、請求によって時間外の免除を受けることができます。
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