労働実務事例
[ 質問 ]
飲食店の店長が管理職に該当しないという地裁判決が出されて以来、当社でも、グレーゾーンの管理職対策に頭を痛めています。仮に役付手当の3分の2相当を時間外見合いとする場合、実際の割増賃金が手当額をオーバーしたら、清算が必要と認識しています。具体的には、どのように計算するのでしょうか。
新潟・Y社
[ お答え ]
店長など一定のポストに付けば、役付手当が加算されます。しかし、役付手当を払えば、自動的に時間外割増等の支給義務を免れるわけではありません。「企業が任命する役付者であればすべてが(労基法第41条第2号の)管理監督者として例外的取扱いが認められるものではない」(昭63・3・14基発第150号)と解されています。
管理監督者に該当しないケースでも、「役付手当に残業代を含むから」と説明することで、問題を回避しようとする会社も見受けられます。しかし、法に違反しないためには、「割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の額以上支払われている」(平12・3・8基収第78号)という条件を満たさなければいけません。
貴社の例では、まず下位役付者の時間外労働を把握し、実際の割増賃金額を計算する必要があります。割増の算定基礎から除外できるのは、家族手当、通勤手当など労基法第37条第4項、労基則第21条で限定列挙された7種類の除外賃金項目に限られます。役付手当は、7種類のいずれにも該当しません。
しかし、役付手当のうち割増賃金相当として区分されている部分は、時間外労働に対して支給される賃金であることが明らかです。時間外が一切発生しなかったとすれば、本来会社は基本給等と各種手当および役付手当の3分の1相当のみを支払えばよいことになります。割増賃金の算定基礎は「通常の労働時間又は労働日の賃金」(労基法第37条第1項)ですから、時間外見合い分を除く賃金から除外賃金項目を差し引いた残りがベースになります。
この割増賃金の算定単価に残業時間数を乗じたものが、「法定の割増賃金額」になります。法所定の計算による割増賃金額が役付手当の3分の2を上回っているときは、差額を追加支給しなければいけません。逆に下回っているときも、契約上の定めに従って全額の役付手当を支給する義務を負います。
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