◆◆
コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆
<第235回>できる人の
コンピテンシーをベンチマークする!
==■「途中入社でキリンフリーの開発に貢献した女性社員の提案力!」■==
===================================
人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れと
なり、成果に結び付けられない人が実に多いのです。
「できる人の
コンピテンシーをベンチマークする!」と題して事例を解説していき
ます。
コンピテンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・
管理者・社員の皆様、そして求職中の
離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非
ともお読みいただきたいと思います。
===================================
<今回のメニュー>
=================================
【1】私は社会に役立つ商品を開発したいです!
【2】世界初、アルコール0.00%に対するこだわりのコンセプトは!
【3】発売一年で2億本のヒット商品に!
【4】編集後記
=================================
キリンは8年ぶりにビール飲料でシェアトップを奪還した。加藤壹康現キリンホール
ディングス社長がキリンビールの社長に就任したときから潮目が変わった。「営業で
会社を変えろ。価格営業は止めろ」と号令をかけ、飲食店への冷蔵庫やビールジョッ
キなどの無償提供を禁止した。営業部隊は飲食店の店作りの提案、全国旨いものつま
みの提案などキリンと組めばいいことがあると説いて回った。3年目に入ってようや
く成功事例で出始めた。営業力で会社が変わり始めたのだ。
そんな時、開発リーダーだった江部るみ子氏が開発の技術者太田雄人氏とのコンビで
第三のビール「のどごし生」を開発した。これがキリンのビール事業に弾みをつけた。
2009年4月、世界初アルコール0.00%と銘打ったビールテイスト「キリンフリー」
を発売した。1年で2億本も売り上げた。これまでもノンアルコールと称するビール
はあったが0.5%のアルコールを含んでいる。1%以下であれば酒類とはみなされ
ないのだ。
「キリンフリー」は途中入社の梶原奈美子氏(28歳)がマーケティング担当として
絶大な貢献をし、開発技術者は「のどごし生」と同じ太田雄人氏である。
そこで、今回は梶原奈美子氏の「提案力」に迫ってみる。
【1】私は社会に役立つ商品を開発したいです!
マーケティング部の飲み食いがあったとき上司の佐藤章部長は「君たちはキリンに入っ
てどんなことがやりたかったんだ?」と問いかけた。一人が「ラガービールのようなロ
ングセラーのビールを生み出したい」と言った。もう一人は「のどごし生のようなヒッ
ト商品を作りたい」と言った。梶原奈美子氏は「社会の役に立つようなビールを作りた
い。ビール業界の救世主になるようなビール」と言った。
職場の同僚は唖然とした表情を浮かべたが佐藤部長は違っていた。数日後彼女に「完全
ノンアルコールのビールを開発してほしい」とメールを送ってきた。飲酒運転撲滅の観
点からもキリンとして完全ノンアルコールのビールは喫緊の課題という認識があったの
だ。
彼女は外資系企業から転職してきてビールに関しては全くの素人だった。はっきり言っ
て怖いもの知らずである。佐藤部長は彼女を連れてキリン横浜工場の開発技術者太田雄
人氏を訪ね、完全ノンアルコールのビールの開発をして欲しいと依頼した。太田氏は技
術的に相当難しい課題であることを訴えたが彼女はいともあっさり開発してもらえると
思った。
【2】世界初、アルコール0.00%に対するこだわりのコンセプトは!
ビールには「適度な苦味とコク」、「香り」、「すっきりしたのどごし」が重要な要素
だ。麦芽とホップを煮込み、酵母を入れると発酵してアルコールが発生する。完全ノン
アルコールということは発酵させないということだ。試してみたが飲めるような味では
なかった。
彼女は0.00%のビールができるという前提で市場調査をしたり、商品のコンセプト
作りに奔走した。ビールを飲みたい場面で「車の運転」という壁があって飲めない。ビ
ール党の人には辛い。日帰りで温泉に行ったとき、車を運転する人は飲めない。ゴルフ
場での昼食時やコンペのパーティでも車を運転する人は飲めない。そこでコンセプトは
「クルマと生きる人類へ」とした。
2008年7月、ビールに近い商品サンプルができて
役員の前で提案することになった。役
員たちの評価は散々だった。「癖が強くて飲みにくい」、「すっきり爽快に飲めない」、
「この味ではビールメーカーとして出すわけには行かない」など。そして「車と生きる
人類へ」というコンセプトはビールメーカーとしてリスクが大きく、誤解を招く恐れが
あるということで却下された。
【3】発売一年で2億本のヒット商品に!
太田氏が自信を持っていたサンプルだっただけにすっかり意気消沈した。しかし梶原奈
美子氏の熱意に負け、再び奮い立った。ビールメーカーのこれまでの技術だけでは無理
と悟った彼は外部の技術を応用する作戦に出た。
適度な苦味とクコに対してはある食品に使われている原材料を加えた。ビールらしい香
りに対しては香料メーカーと共同で開発した香料を使用した。すっきりとしたのどごし
に対してはキリンビバレッジが開発した酸味調整技術を採り入れた。この3つの技術は
特許出願中で詳細は明らかにされていない。
2008年8月の
役員たちに対する提案のリターンマッチで見事許可を得ていよいよ商品化
にこぎつけ、太田氏も喜んだが、彼女は却下されたコンセプトのことで頭がいっぱいだ
った。佐藤部長と一緒に三宅社長に直談判にいき、「飲んでも運転できる」を強く訴え
たいと申し出た。そして「0.00%を前面に出したい」と訴えた。
この訴えが実り、商品発表の会場は「海ほたる」で行われた。今高速道路のサービスエ
リアのレストランで堂々とキリンフリーは売られている。ゴルフ場のレストランでも同
様だ。発売後1年で2億本というヒット商品を怖さ知らずの梶原奈美子氏の「提案力」
なる
コンピテンシーが大きく貢献したのだった。
【4】編集後記
医者にアルコールを厳禁されている人から再びビールの味が楽しめるという手紙が届い
た。妊婦さんからも感謝の手紙が届いているという。開発のとき想定していなかった市
場もあったのだ。
キリンとしても飲酒運転根絶に貢献できるし、彼女の「社会に役立つ商品開発」という
思いも達成できたことになる。今後どんな商品を開発してくれるか楽しみだ。
<この記事は平成22年4月放送のテレビ東京「ルビコンの決断」も参考にしています。>
次回に続く
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
本メールマガジンは「まぐまぐ」と「melma」を通して発行しております。
「まぐまぐ」での登録・退会はこちらから
⇒
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/melmag.html
「melma」での登録・退会はこちらから
⇒
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/melmag2.html
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
*************************************************************************
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから
3223898301@jcom.home.ne.jp
著書「中堅・中小企業のための
コンピテンシー入門」好評発売中!詳細はこちら
から⇒
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/book.html
*************************************************************************
◆◆コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆
<第235回>できる人のコンピテンシーをベンチマークする!
==■「途中入社でキリンフリーの開発に貢献した女性社員の提案力!」■==
===================================
人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れと
なり、成果に結び付けられない人が実に多いのです。
「できる人のコンピテンシーをベンチマークする!」と題して事例を解説していき
ます。
コンピテンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・
管理者・社員の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非
ともお読みいただきたいと思います。
===================================
<今回のメニュー>
=================================
【1】私は社会に役立つ商品を開発したいです!
【2】世界初、アルコール0.00%に対するこだわりのコンセプトは!
【3】発売一年で2億本のヒット商品に!
【4】編集後記
=================================
キリンは8年ぶりにビール飲料でシェアトップを奪還した。加藤壹康現キリンホール
ディングス社長がキリンビールの社長に就任したときから潮目が変わった。「営業で
会社を変えろ。価格営業は止めろ」と号令をかけ、飲食店への冷蔵庫やビールジョッ
キなどの無償提供を禁止した。営業部隊は飲食店の店作りの提案、全国旨いものつま
みの提案などキリンと組めばいいことがあると説いて回った。3年目に入ってようや
く成功事例で出始めた。営業力で会社が変わり始めたのだ。
そんな時、開発リーダーだった江部るみ子氏が開発の技術者太田雄人氏とのコンビで
第三のビール「のどごし生」を開発した。これがキリンのビール事業に弾みをつけた。
2009年4月、世界初アルコール0.00%と銘打ったビールテイスト「キリンフリー」
を発売した。1年で2億本も売り上げた。これまでもノンアルコールと称するビール
はあったが0.5%のアルコールを含んでいる。1%以下であれば酒類とはみなされ
ないのだ。
「キリンフリー」は途中入社の梶原奈美子氏(28歳)がマーケティング担当として
絶大な貢献をし、開発技術者は「のどごし生」と同じ太田雄人氏である。
そこで、今回は梶原奈美子氏の「提案力」に迫ってみる。
【1】私は社会に役立つ商品を開発したいです!
マーケティング部の飲み食いがあったとき上司の佐藤章部長は「君たちはキリンに入っ
てどんなことがやりたかったんだ?」と問いかけた。一人が「ラガービールのようなロ
ングセラーのビールを生み出したい」と言った。もう一人は「のどごし生のようなヒッ
ト商品を作りたい」と言った。梶原奈美子氏は「社会の役に立つようなビールを作りた
い。ビール業界の救世主になるようなビール」と言った。
職場の同僚は唖然とした表情を浮かべたが佐藤部長は違っていた。数日後彼女に「完全
ノンアルコールのビールを開発してほしい」とメールを送ってきた。飲酒運転撲滅の観
点からもキリンとして完全ノンアルコールのビールは喫緊の課題という認識があったの
だ。
彼女は外資系企業から転職してきてビールに関しては全くの素人だった。はっきり言っ
て怖いもの知らずである。佐藤部長は彼女を連れてキリン横浜工場の開発技術者太田雄
人氏を訪ね、完全ノンアルコールのビールの開発をして欲しいと依頼した。太田氏は技
術的に相当難しい課題であることを訴えたが彼女はいともあっさり開発してもらえると
思った。
【2】世界初、アルコール0.00%に対するこだわりのコンセプトは!
ビールには「適度な苦味とコク」、「香り」、「すっきりしたのどごし」が重要な要素
だ。麦芽とホップを煮込み、酵母を入れると発酵してアルコールが発生する。完全ノン
アルコールということは発酵させないということだ。試してみたが飲めるような味では
なかった。
彼女は0.00%のビールができるという前提で市場調査をしたり、商品のコンセプト
作りに奔走した。ビールを飲みたい場面で「車の運転」という壁があって飲めない。ビ
ール党の人には辛い。日帰りで温泉に行ったとき、車を運転する人は飲めない。ゴルフ
場での昼食時やコンペのパーティでも車を運転する人は飲めない。そこでコンセプトは
「クルマと生きる人類へ」とした。
2008年7月、ビールに近い商品サンプルができて役員の前で提案することになった。役
員たちの評価は散々だった。「癖が強くて飲みにくい」、「すっきり爽快に飲めない」、
「この味ではビールメーカーとして出すわけには行かない」など。そして「車と生きる
人類へ」というコンセプトはビールメーカーとしてリスクが大きく、誤解を招く恐れが
あるということで却下された。
【3】発売一年で2億本のヒット商品に!
太田氏が自信を持っていたサンプルだっただけにすっかり意気消沈した。しかし梶原奈
美子氏の熱意に負け、再び奮い立った。ビールメーカーのこれまでの技術だけでは無理
と悟った彼は外部の技術を応用する作戦に出た。
適度な苦味とクコに対してはある食品に使われている原材料を加えた。ビールらしい香
りに対しては香料メーカーと共同で開発した香料を使用した。すっきりとしたのどごし
に対してはキリンビバレッジが開発した酸味調整技術を採り入れた。この3つの技術は
特許出願中で詳細は明らかにされていない。
2008年8月の役員たちに対する提案のリターンマッチで見事許可を得ていよいよ商品化
にこぎつけ、太田氏も喜んだが、彼女は却下されたコンセプトのことで頭がいっぱいだ
った。佐藤部長と一緒に三宅社長に直談判にいき、「飲んでも運転できる」を強く訴え
たいと申し出た。そして「0.00%を前面に出したい」と訴えた。
この訴えが実り、商品発表の会場は「海ほたる」で行われた。今高速道路のサービスエ
リアのレストランで堂々とキリンフリーは売られている。ゴルフ場のレストランでも同
様だ。発売後1年で2億本というヒット商品を怖さ知らずの梶原奈美子氏の「提案力」
なるコンピテンシーが大きく貢献したのだった。
【4】編集後記
医者にアルコールを厳禁されている人から再びビールの味が楽しめるという手紙が届い
た。妊婦さんからも感謝の手紙が届いているという。開発のとき想定していなかった市
場もあったのだ。
キリンとしても飲酒運転根絶に貢献できるし、彼女の「社会に役立つ商品開発」という
思いも達成できたことになる。今後どんな商品を開発してくれるか楽しみだ。
<この記事は平成22年4月放送のテレビ東京「ルビコンの決断」も参考にしています。>
次回に続く
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
本メールマガジンは「まぐまぐ」と「melma」を通して発行しております。
「まぐまぐ」での登録・退会はこちらから
⇒
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/melmag.html
「melma」での登録・退会はこちらから
⇒
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/melmag2.html
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
*************************************************************************
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから
3223898301@jcom.home.ne.jp
著書「中堅・中小企業のためのコンピテンシー入門」好評発売中!詳細はこちら
から⇒
http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/book.html
*************************************************************************