札幌市豊平区の
税理士 溝江諭(みぞえさとし)です。
税金について、自民党税制調査会の「自民党税調の答申」、内閣総理大臣の諮問機関である「政府税調の答申」や経団連などの「財界からの要求」などは度々ニュースとしてマスコミで取上げられています。しかしその割には、この国を日々底辺から支えている個人の納税者・担税者が現行の税金をどのように感じ、どのような方向への改革を望んでいるのかという視点に立った報道がテレビ、ラジオ、新聞とも極めて少ないように感じられます。
その背景には、わが国においては、①納税者・担税者である国民の「税に対する関心度」が一部の者を除いてあまり高くないこと、②マスコミも予算の使途についてはかなり詳しく報道する割には、その主要財源となる「税そのものに対する問題意識」があまり高くないという要因があるようです。
どうしてこのようになってしまったのでしょうか?その原因はどこにあるのでしょうか。私は大きく分けて2つの原因があるのではないかと考えています。一つ目は
年末調整制度、二つ目は間接税制度です。今回は間接税制度についてです。
2 間接税制度
税金の分類方法のひとつに直接税と間接税という分け方があります。直接税は納税義務者が自ら税の負担者(担税者)になることを予定した税であり、間接税は納税義務者ではない、物品やサービスの最終的な購入者が担税者となることを予定した税です。直接税の代表例としては、
法人税、
所得税、
相続税、
固定資産税などがあり、間接税には、ガソリン税(揮発油税、地方道路税)、酒税、タバコ税、自動車
重量税、入湯税などの特定の物品やサービスに課税する個別間接税(注1)と
消費税、地方
消費税のように消費一般に課税する一般間接税があります。
国税と
地方税全体の税収に対する割合で見ると直接税は72.6%、間接税は27.4%となっています(注2)。この割合を直間比率といいます。
間接税のうち、最大のものは
消費税(
国税4%+
地方税1%)で全税収の13.7%を占め、間接税の約半分となっています。
最終的な担税者である国民から見た間接税の問題点は次の点です。
間接税は、担税者にとって、実際にどれだけ負担しているのかが分かりにくく、それだけ痛みを感じさせない税金であるという点です。
酒税やタバコ税などは税率の改定の度にマスコミを騒がせますが、しばらくするとほとんどの人間は関心を寄せなくなります。その原因はこれらの税額が販売価格の中に紛れ込み、値札などにその税額が表示されず、間接税の税額が分からなくなっているからです。このため、個々に見るとかなりの重税感があるはずなのですが、その意識が持続しません。なお、平成16年4月からの
消費税の総額表示の義務化も同様な意図が込められたものでしょう。ちなみに、皆さんは
消費税をはじめとして年間いくらの間接税を負担しているかご存知ですか?
平成20年度予算の
国税と
地方税の全税収96兆3,479億円に占める間接税は約26兆4千億円。この間接税を成人である国民(1億400万人)ですべて負担しているとすると、年間一人当たり約25万4千円になります。 成人2人世帯で約50万円、大きな金額です。
一方、間接税を徴収側である行政や政府から見ると次のように言えます。
間接税は基幹税のひとつである
法人税と違い、税収が安定していること。ガソリン税の暫定税率で話題になったように支出を限定した目的税として利用できることなどの特徴を持っています。ただ、税収を増加させるためには、既に存在している間接税の税率引上げか、新税の創設が必要となります。タバコ税で分かるように、個別間接税の場合にはそれぞれに圧力団体が存在するため税率の引上げが容易でないとともに、引上げに成功してもそれによる税収増はそれほど多額なものとはなりません。それに比べ、一般間接税である
消費税は税率引上げが比較的容易です。なぜなら、国会で多数派与党を占めているならば、国民などの意向をあまり斟酌することなく引上げを決めることが可能だからです。例えば、平成9年の引上げ時(3%から5%へ)もそうでした。また、税率引上げによって得られる税収は巨大な金額となります。1%の引上げで約2.5兆円の増収になると言われています。すなわち、一般間接税である
消費税は、政官にとっては貴重なマネー製造機なのです。だからこそ、政官ともに、財政改革のためには
消費税率の引上げしかない(?)という短絡的思考を世間へ流布することにより、将来の
消費税率引上げを半ば既成事実化して、巧妙にマスコミをコントロールしています。
このように、間接税制度は国民に痛みを感じさせない税金であり、それ故、①担税者としての国民の「税に対する関心度」を低下させる要因となっている一方、一般間接税である
消費税を貴重なマネー製造機であると考える政官は、将来の
消費税率引上げを既成事実化するために、②マスコミの「税に対する問題意識」を一般間接税である「
消費税」へ集中的に転換させることに成功しています。
以上が、私が考えた、①国民の「税に対する関心度」が一部の者を除いてあまり高くないこと、②マスコミも「税そのものに対する問題意識」があまり高くないという要因です。
皆さんはどう思われますか?
これらの底流には、政官が築き上げてきたわが国の行政制度においては、国の主役であるべき国民を軽視し続けてきたという国民軽視の思想が存在するように思えて仕方がありません。政治は誰のためにあり、官僚は誰のために存在するのか、いま一度原点に立ち返って、検討することが求められています。
今後、政官には、あるべき税制をしっかり研究追求し、今後の税制改革に生かしてもらうことが大切です。例えば、間接税については、各種間接税制度の存在意義と各税目ごとの国民の負担額を、これまで以上に分かりやすく国民やマスコミに説明する義務があります。そのためには、ガソリンや酒やタバコなどのレシートに、ガソリン税、酒税、タバコ税の金額表示を義務付けてもよいでしょう。また、
消費税率の安易な引上げに頼る前に、財政支出の無駄を毎年徹底的に洗い出し、削減する努力を継続することも求められます。そのためには、将来のこの国の方向性を明確に示し、それに沿った長期的視点に立った予算編成と各種利権の巣窟になり易い縦割り行政からの脱却などやるべきことがたくさんある筈です。やるべきことを洗い出し、優先順位を付けて国民へ提示し、審判を仰ぎ、一つひとつを確実に実行してもらいたいものです。
担税者であるわれわれ国民には、予算の使い道とその財源である税についてもっともっと関心を持ち学習することが求められるでしょう。誰もが夢を持って生きることができる公平で暖かい世の中を実現するためには今後さまざまな努力が必要とされます。
一方、マスコミには、
消費税率引上げの話題に追随するだけでなく、「税の理念」に目を向け、民主主義国家における「あるべき税制」と言う視点から、税制をどのような方向へ改革すべきか報道する責務があるはずです。ぜひそのような視点に立った報道が増えることを期待します。
間接税にはそれ自体の問題点として、直接税としての
所得税に存在する課税最低限に相当するものがないため、
所得税の課税最低限以下の者でも負担が強制されるとか、所得に対して逆進性があり低所得者ほど高負担となり、所得の再分配機能が阻害されるとかいろいろな問題がありますが、今回のテーマには直接関係しませんので、いずれ稿を改めて検討したいと思います。
これまで3回に渡ってお伝えしたように、国民の政治参加意識を向上させるためには、財政収入の主要な財源である税に対する意識の向上が不可欠であり、そのためには、
1 まず手始めに、
年末調整制度を廃止し、所得者皆申告制度を導入する。または、これらの選択制にする。
2 政官は間接税制度での国民の負担を明らかにすると共に、間接税に安易に頼ることなく、税制そのものについて理想の形を研究追求し、少しでもそれに近付ける努力を継続する。安易な
消費税率の引上げに走らない。
消費税率引上げ前にやるべきことを徹底的に実行する。
3 これらのために、税の理念に基づくマスコミからの啓蒙伝達。
が必要だと考えます。
これらはまさに政治の主役はわれわれ国民であるということを再確認することにつながります。われわれ国民一人ひとりの決断がわが国の将来を決めるのです。
黄金週間が終わってからなにかと慌しい日々が続いていましたが、前回の土曜日には庭の畑に黒土と堆肥を入れることができました。現在、何を植えようかといろいろと思案中。去年は初めて植えたサンチュがとてもおいしかったので、今年もトライする積もりです。トマト、きゅうり、なすの定番3種。その他、枝豆、大根、三つ葉、水菜、つまみ菜、サニーレタス、ねぎ、いんげん、ピーマンなどいろいろ。7坪しかない庭にどの野菜をどれだけ植えようか?これも日曜百姓の密かな楽しみです。そうそう、アスパラガスは一度植えると、毎年収穫できることをご存知ですか?我が家では20数年前に植えたアスパラガスが毎年立派に成育し、今時分から7月末ごろまで新鮮なおいしさを届けてくれます。特別な手間をかけていないにもかかわらずです。大自然の営みはすごい!
その他のためになる情報は
http://www.ksc-kaikei.com/
See you next !
(注1)
国税庁 税務統計「個別間接税関係」
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kansetsu2007/kansetsu.pdf
(注2)財務省「
国税・
地方税の内訳」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/001.htm
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札幌市豊平区
税理士 溝江 諭 KSC
会計事務所
http://www.ksc-kaikei.com/
札幌学院大学 客員教授
税務会計論担当
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札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし)です。
税金について、自民党税制調査会の「自民党税調の答申」、内閣総理大臣の諮問機関である「政府税調の答申」や経団連などの「財界からの要求」などは度々ニュースとしてマスコミで取上げられています。しかしその割には、この国を日々底辺から支えている個人の納税者・担税者が現行の税金をどのように感じ、どのような方向への改革を望んでいるのかという視点に立った報道がテレビ、ラジオ、新聞とも極めて少ないように感じられます。
その背景には、わが国においては、①納税者・担税者である国民の「税に対する関心度」が一部の者を除いてあまり高くないこと、②マスコミも予算の使途についてはかなり詳しく報道する割には、その主要財源となる「税そのものに対する問題意識」があまり高くないという要因があるようです。
どうしてこのようになってしまったのでしょうか?その原因はどこにあるのでしょうか。私は大きく分けて2つの原因があるのではないかと考えています。一つ目は年末調整制度、二つ目は間接税制度です。今回は間接税制度についてです。
2 間接税制度
税金の分類方法のひとつに直接税と間接税という分け方があります。直接税は納税義務者が自ら税の負担者(担税者)になることを予定した税であり、間接税は納税義務者ではない、物品やサービスの最終的な購入者が担税者となることを予定した税です。直接税の代表例としては、法人税、所得税、相続税、固定資産税などがあり、間接税には、ガソリン税(揮発油税、地方道路税)、酒税、タバコ税、自動車重量税、入湯税などの特定の物品やサービスに課税する個別間接税(注1)と消費税、地方消費税のように消費一般に課税する一般間接税があります。
国税と地方税全体の税収に対する割合で見ると直接税は72.6%、間接税は27.4%となっています(注2)。この割合を直間比率といいます。
間接税のうち、最大のものは消費税(国税4%+地方税1%)で全税収の13.7%を占め、間接税の約半分となっています。
最終的な担税者である国民から見た間接税の問題点は次の点です。
間接税は、担税者にとって、実際にどれだけ負担しているのかが分かりにくく、それだけ痛みを感じさせない税金であるという点です。
酒税やタバコ税などは税率の改定の度にマスコミを騒がせますが、しばらくするとほとんどの人間は関心を寄せなくなります。その原因はこれらの税額が販売価格の中に紛れ込み、値札などにその税額が表示されず、間接税の税額が分からなくなっているからです。このため、個々に見るとかなりの重税感があるはずなのですが、その意識が持続しません。なお、平成16年4月からの消費税の総額表示の義務化も同様な意図が込められたものでしょう。ちなみに、皆さんは消費税をはじめとして年間いくらの間接税を負担しているかご存知ですか?
平成20年度予算の国税と地方税の全税収96兆3,479億円に占める間接税は約26兆4千億円。この間接税を成人である国民(1億400万人)ですべて負担しているとすると、年間一人当たり約25万4千円になります。 成人2人世帯で約50万円、大きな金額です。
一方、間接税を徴収側である行政や政府から見ると次のように言えます。
間接税は基幹税のひとつである法人税と違い、税収が安定していること。ガソリン税の暫定税率で話題になったように支出を限定した目的税として利用できることなどの特徴を持っています。ただ、税収を増加させるためには、既に存在している間接税の税率引上げか、新税の創設が必要となります。タバコ税で分かるように、個別間接税の場合にはそれぞれに圧力団体が存在するため税率の引上げが容易でないとともに、引上げに成功してもそれによる税収増はそれほど多額なものとはなりません。それに比べ、一般間接税である消費税は税率引上げが比較的容易です。なぜなら、国会で多数派与党を占めているならば、国民などの意向をあまり斟酌することなく引上げを決めることが可能だからです。例えば、平成9年の引上げ時(3%から5%へ)もそうでした。また、税率引上げによって得られる税収は巨大な金額となります。1%の引上げで約2.5兆円の増収になると言われています。すなわち、一般間接税である消費税は、政官にとっては貴重なマネー製造機なのです。だからこそ、政官ともに、財政改革のためには消費税率の引上げしかない(?)という短絡的思考を世間へ流布することにより、将来の消費税率引上げを半ば既成事実化して、巧妙にマスコミをコントロールしています。
このように、間接税制度は国民に痛みを感じさせない税金であり、それ故、①担税者としての国民の「税に対する関心度」を低下させる要因となっている一方、一般間接税である消費税を貴重なマネー製造機であると考える政官は、将来の消費税率引上げを既成事実化するために、②マスコミの「税に対する問題意識」を一般間接税である「消費税」へ集中的に転換させることに成功しています。
以上が、私が考えた、①国民の「税に対する関心度」が一部の者を除いてあまり高くないこと、②マスコミも「税そのものに対する問題意識」があまり高くないという要因です。
皆さんはどう思われますか?
これらの底流には、政官が築き上げてきたわが国の行政制度においては、国の主役であるべき国民を軽視し続けてきたという国民軽視の思想が存在するように思えて仕方がありません。政治は誰のためにあり、官僚は誰のために存在するのか、いま一度原点に立ち返って、検討することが求められています。
今後、政官には、あるべき税制をしっかり研究追求し、今後の税制改革に生かしてもらうことが大切です。例えば、間接税については、各種間接税制度の存在意義と各税目ごとの国民の負担額を、これまで以上に分かりやすく国民やマスコミに説明する義務があります。そのためには、ガソリンや酒やタバコなどのレシートに、ガソリン税、酒税、タバコ税の金額表示を義務付けてもよいでしょう。また、消費税率の安易な引上げに頼る前に、財政支出の無駄を毎年徹底的に洗い出し、削減する努力を継続することも求められます。そのためには、将来のこの国の方向性を明確に示し、それに沿った長期的視点に立った予算編成と各種利権の巣窟になり易い縦割り行政からの脱却などやるべきことがたくさんある筈です。やるべきことを洗い出し、優先順位を付けて国民へ提示し、審判を仰ぎ、一つひとつを確実に実行してもらいたいものです。
担税者であるわれわれ国民には、予算の使い道とその財源である税についてもっともっと関心を持ち学習することが求められるでしょう。誰もが夢を持って生きることができる公平で暖かい世の中を実現するためには今後さまざまな努力が必要とされます。
一方、マスコミには、消費税率引上げの話題に追随するだけでなく、「税の理念」に目を向け、民主主義国家における「あるべき税制」と言う視点から、税制をどのような方向へ改革すべきか報道する責務があるはずです。ぜひそのような視点に立った報道が増えることを期待します。
間接税にはそれ自体の問題点として、直接税としての所得税に存在する課税最低限に相当するものがないため、所得税の課税最低限以下の者でも負担が強制されるとか、所得に対して逆進性があり低所得者ほど高負担となり、所得の再分配機能が阻害されるとかいろいろな問題がありますが、今回のテーマには直接関係しませんので、いずれ稿を改めて検討したいと思います。
これまで3回に渡ってお伝えしたように、国民の政治参加意識を向上させるためには、財政収入の主要な財源である税に対する意識の向上が不可欠であり、そのためには、
1 まず手始めに、年末調整制度を廃止し、所得者皆申告制度を導入する。または、これらの選択制にする。
2 政官は間接税制度での国民の負担を明らかにすると共に、間接税に安易に頼ることなく、税制そのものについて理想の形を研究追求し、少しでもそれに近付ける努力を継続する。安易な消費税率の引上げに走らない。消費税率引上げ前にやるべきことを徹底的に実行する。
3 これらのために、税の理念に基づくマスコミからの啓蒙伝達。
が必要だと考えます。
これらはまさに政治の主役はわれわれ国民であるということを再確認することにつながります。われわれ国民一人ひとりの決断がわが国の将来を決めるのです。
黄金週間が終わってからなにかと慌しい日々が続いていましたが、前回の土曜日には庭の畑に黒土と堆肥を入れることができました。現在、何を植えようかといろいろと思案中。去年は初めて植えたサンチュがとてもおいしかったので、今年もトライする積もりです。トマト、きゅうり、なすの定番3種。その他、枝豆、大根、三つ葉、水菜、つまみ菜、サニーレタス、ねぎ、いんげん、ピーマンなどいろいろ。7坪しかない庭にどの野菜をどれだけ植えようか?これも日曜百姓の密かな楽しみです。そうそう、アスパラガスは一度植えると、毎年収穫できることをご存知ですか?我が家では20数年前に植えたアスパラガスが毎年立派に成育し、今時分から7月末ごろまで新鮮なおいしさを届けてくれます。特別な手間をかけていないにもかかわらずです。大自然の営みはすごい!
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(注1)国税庁 税務統計「個別間接税関係」
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kansetsu2007/kansetsu.pdf
(注2)財務省「国税・地方税の内訳」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/001.htm
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札幌市豊平区 税理士 溝江 諭 KSC会計事務所
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札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当
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