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独占販売契約について

著者 法務部見習い さん

最終更新日:2010年06月21日 20:08

当社のグループ会社(メーカー:A社とします。)は、取り扱い商品がほとんどが仕入れ品であり、自社で原料から製造している商品はほとんどありません。(製造元が提案して製品を、A社ブランドの商品として市場に販売している)

このうなケースにおいて、製造元が作った製品をA社商品として売り出すことにより、その業界で爆発的なヒット商品となった場合、当然競合他社は、当該商品をコピーする、もしくはA社に納入している製造元に対し、「自社もその商品を売り出したい」との依頼を行うなどのケースが考えられます。

少なくともA社の業界では、「製造元が同じ商品をA社にもB社にも販売する」、「競合他社が売れる商品を真似る」との習慣が一般的であり、A社としては、製造元が提案してきた優れた製品については、A社が独占的に販売し、同業他社に販売させない旨、契約書で縛りたいと考えております。

この場合、製造元との契約書内に、
「対象商品を競合他社に販売してはならないものとする。」との条文を挿入したとして、本条文は有効でしょうか?
独禁法の規制との抵触を懸念しておりますがいかがでしょうか?

ご教示いただければ幸いです。

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Re: 独占販売契約について

著者外資社員さん

2010年06月21日 21:18

こんにちは

業界固有の状況は脇に置いて、一般的な納入契約という観点でお答えします。

他社に販売できない権利を”排他的権利”と呼びます。
これが有効なのは、委託元が何らかの開発委託なり、製品開発に必要な設計費用、金型代など、商品開発に必要な費用を応分に負担することに依っています。
そのような開発契約の中で、排他的権利や、商品に関する知的財産権が委託元に帰属させることで、具体的に他社への販売を制限することができます。

さて、お書きのように、委託元は商品開発に関わらない場合には、開発の対価に相応する権利はありませんので、制限できることは少ないでしょう。 つまり、禁止項目を書いても合理性がありません。ですから販売元の権利が強い条件ならば相手が拒否するでしょうし、たとえ書いても販売元によるノウハウや知財が無いのですから、制限できることが殆どありません。

結果としては、相手がよほど法務や契約に無知でもない限り制限できることは少ないと思います
独占禁止法というよりは、弱い権利を主張しても、相手に無視されるか、無理に制限すれば裁判に持ち込まれれば合理性の無い制限として負けるという感じと思いますが。

商品の定義は?

著者外資社員さん

2010年06月22日 11:07

補足です。

>「対象商品を競合他社に販売してはならないものとする。」

ここでさす商品の定義が明確でない限り、この項目は意味を持ちません。 通常は、貴社が保有する権利によるものは、排他的な権利行使が可能ですから、それに対しては有効になります。 つまり、契約の中では商品の定義を明確にする必要があります。

商品の中で貴社の知的財産として保護される部分と、製造元によるものでも貴社が対価を支払い権利を受けとった部分は、契約で排他的権利を行使できます。私ならば、これらを商品の定義とするでしょう。

貴社の創造や仕様による部分は、貴社の知的財産として保護されるので、契約の有無にかかわらず保護されます。 もちろん、契約の中で、何が貴社の知的財産であり他社への提供が出来ないことを明記し合意することは重要です。
当然のように、貴社が保有する商標、デザイン、特許なども契約の有無にかかわらず保護の対象です。

もう一つは、貴社が開発費や、製造元の権利を支払ったものに対して貴社に帰属することを、契約の中で定めて合意することが可能です。貴社に帰属するものは、排他的な権利行使が可能です。

まとめますと、自分の知的財産と、権利に対価を支払い譲り受けたものは貴社の排他的権利となります。
こうした背景のないものを、契約で縛っても意味をもたないと思います。 それを強制して無視されても、貴社を守る合理的な理由は無いことになります。

Re: 独占販売契約について

こんにちは。

今回のケースは「独占的なOEM契約」とか「(ある商品の)独占的代理契約」に近いかと私は思います。商品の開発リスクは全て製造元が負っており、A社は言うなれば販売しかしていないためです。

この場合、A社は何をもって「競合他社への販売禁止」という条件を製造元へ飲ませるのでしょうか。

業界におけるA社の販売網やブランド力、他の取引継続などを盾に製造元へ強要するなら、独禁法的にNGの可能性:大だと思われます(A社の業界内シェアとかも係わってきそうですが)。特に、「A社>製造元」という力関係の場合は、この様な条件付けには細心の注意が必要です。直接的には強要しなくとも、暗黙のプレッシャーを与えたと判断されかねません。

ですが、例えば「契約締結以降10年間は○万個/年の購入ノルマをA社に課して、達成できなければ不足分の対価をA社から製造元へ支払う」などのように、A社独占販売に対する製造元へのメリット付けがきちんとなされ、それを製造元が納得した上で合意に達するのであれば問題は生じ難いと考えます。

基本的なポイントは「相手の事業活動を困難にさせるかどうか」です。製造元はB社にも商品を販売して利益を得られるのですから、それをA社が無理を言って妨げることは出来ません。「競合他社への販売禁止」という条件を製造元に飲ますということは、製造元が有する「他社に販売する」という権利を譲ってもらうようなもの。相手側の立場になってみて、「無理強いされた」「理不尽だ」と思ってしまうような条件は避け、「これなら納得」と思えるような条件を模索してみては如何でしょうか?


尚、別アプローチとして、例えばA社と製造元で共同開発を行ったとか、A社から製造元へ開発委託を行ったという形にすれば、ある程度は縛る事が可能かもしれません。ただ、その分A社には開発リスク(費用負担など)が発生しますけど…。

以上、全くの私見でしかありませんが、御参考となれば幸いです。

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