相談の広場
企業の管理部門のみなさんが、『介護と仕事の両立』について、本当に可能とお考えになられているのかどうか、ご教示いただければ幸いです…。
横浜で社会福祉士事務所を営んでいるものです。年中無休の電話相談サービス『お困りごとホットライン』を運営しています。コロナショック以降、現役世代からの相談が一気に増えました。従来は後期高齢世代からの相談が8割超でしたが、完全に逆転している状況です…。
企業における介護離職対策は、大きく以下の4つかと認識しています。
・介護休業制度 ・有給休暇積立制度 ・フレキシブルな勤務形態 ・外部相談窓口の確保
が、これらはいずれも『介護と仕事の両立』を前提としており、「何とかやりくりして時間を捻出して解決して戻ってきなさいね」という施策です。
当方の調査では、40代以上の現役世代の約2割が老親問題を抱えています。現役世代の9割超が、「親に何かがあっても職場を離れたくない」と回答しています。介護休業を取得した人の8割が後悔しています。
直近の相談事例をふたつ紹介します。
いずれも介護休業を取得されていますが、休業期間中も上司への報告、取引先との折衝をせざるを得なかったとのこと。また、人事評価にも影響が出ています。外部相談窓口(介護系企業)に当たっても、地域の相談窓口や東京都の精神救急サポート窓口に相談するようガイドしてくれただけで解決に至らず、結果的に本人と家族の日常が破綻していく顛末となりました。
最初のケース。
食品系中堅商社の営業部長代理。55歳、男性。83歳の母親が、不穏行動を伴う認知症。昨春、断腸の思いで介護休業を取得し、ようやく介護施設に入所させるも、退所させられること三度。暴言・暴力・不潔行為・徘徊が加速し、精神科入院をさせようとするが、満床等の理由で埒が明かず。結果的に、今春に退職。母親と同居しながら、日常生活および介護医療まわりをフルサポートしている。この間、妻子は家を出ていき、過日、離婚の申し入れがあった…。
つぎのケース。
携帯電話等の部品メーカーの秘書室勤務。53歳、女性。85歳の父親が不穏行動を伴う認知症。勤務中に、警察・銀行・ご近所からの連絡が頻繁に入るようになったのが昨秋。有給取得して、身の回りの世話、通院同行、施設さがしに奔走するも事態は悪化する一方で仕事に影響が出はじめたため、人事部門に相談し、今春介護休業を取得。近隣の精神病院にも空きがなく、かといって、介護施設でも受け入れてもらえず困り果てていた時に、その間、手伝ってもらっていた大学生の娘がセクハラ被害に遭う…。
こんな具合です。この手の相談が確実に増えており、多くの場合、介護休業の取得が逆に本人を追い込んでしまう結果になっています。ちなみに、いずれのケースも、私どもで精神救急病棟を確保させていただき、不穏行動を抑制した上で、予算に応じた介護施設をさがして入所いただきました。
こうした傾向は今後ますます顕著になることは明らかです。「隠れビジネスケアラー」という言葉も市民権を得つつあります。これからの企業には、「親に何かがあっても職場を離れなくて済む」施策も求められるのではないでしょうか。
ひとつまちがいなく言えるのは、外部相談窓口は、相談に応じるのみならず、実務代行までカバーしてくれないと意味がないということではないでしょうか。具体的には、「入院先病院の確保」・「入所先施設の確保」・「判断能力が残っている段階での財産承継」。この3つは、現役世代にとって、老親リスクの最たるものです。逆に言えば、最低この3つさえ実務を担ってもらえれば、現役世代の仕事と家庭に及ぼすインパクトはほぼ解消できるはずです。
従業員と家族をまもり、仕事に集中できる職場環境を整える…。そんな、介護休業制度とは別の、一歩踏み込んだ介護離職対策が、働き方改革の新たな論点になると考えています。
みなさんの会社ではいかがでしょうか。
・介護休業取得者はどの程度いますか?
・介護休業取得者のその後はいかがでしょうか。
・隠れビジネスケアラー、いそうじゃないですか。
コメントを賜れれば幸いです…。
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