相談の広場
契約書における損害賠償額の上限について皆様のご意見を頂戴いただければと思います。
私はある企業で法務を担当しております。
各部署からの契約書をチェックしておりますと特にシステム関係の会社とのシステム開発契約や保守契約に多いのですが、開発や保守において弊社が損害を被った場合の損害賠償の額の上限をシステム開発費用や年間の保守費用を上限としている場合が多いように思われます。
このような契約内容の場合、相手様との交渉により少なくとも損害を与えた側に故意又は重大な過失があった場合には、損害賠償額の上限を撤廃していただいております。
しかしながら、会社によってはこのように条件を「故意又は重大な過失があった場合」に限ったとしても上限を撤廃することを認めない会社もあり対応に苦慮しております。
このような場合にどのように相手様を説得すべきでしょうか。
又は、このように「故意又は重大な過失があった場合」には契約書の文言にかかわらず、実損害額を請求することは問題がないと考えても良いのでしょうか。
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故意はともかく、重大な過失と言えども
「過失相殺」にあたる、御社側の過失なきにしもあらず、
たとえば、ログやバックアップ(SW,HW)をとるのを手抜き
して回復に通常予想しうる以上の費用や時間を
要した場合など。
また、「相当因果関係にある全損害」が損害賠償の範囲
であることから、御社側に直接因果関係のない、
間接損害を増大させる状況が存在した場合、
そこまでは含められませんとは言われかねません。
システム運用上の他システムとの競合関係や
過負荷関係(たとえて言えばトラックに過積載)
など、高度になればなるほど、間接因果関係は
ひろがり続けます。
最後に「事前に予想し得ない特別な事情」は賠償範囲に
含められません。
実損害と一言で峻別できない事案も考えられます。
故意又は重過失は賠償義務の発生要件であって、
賠償範囲まで即全部とは言えないのでは?
本格的にはもう少し弁護士など法曹専門家で
喧々囂々の課題あるテーマのように思えます。
こんにちは
中村先生の仰るように、損害賠償に対する責任の判断とか、
「損害の上限規定が有効か」という法的には興味深い話とは思いますが、
現実問題を考えれば、リスクマネジメントの問題で考えてみたら如何でしょうか。
故意の場合の上限撤廃は合理性があるので、それは問題にせず、以下は「過失」または前提条件がない「損害賠償の上限撤廃」について記載します。
受注側からいえば、損害の上限が受注金額であることは、リスクの最悪値が下がることになります。発注側から言えば受注してくれる業者が増え選択肢が広がります。
また、相手への支払いの範囲ならば、支払い能力の点では問題は少ないとも考えられます。
損害金額上限を撤廃し、万一 相手がそれを上回る損害を与え、請求が合理的としても、賠償を支払えるかという問題は残ります。 請求額が大きければ、相手も簡単に応じないでしょうから、事実認定や民事訴訟で時間も費用もかかるかもしれません。ですから、上限を撤廃しても、とれるかは別問題だと思います。 特約の意味するものが、損害の弁済ではなく、相手の慎重な作業ならば、そのような背景について理解を求めるのが重要かもしれません。
結論を言えば、契約自由の原則によりケースバイケースで判断するしかなく、一律な契約の求めは現実にあっていないと思います。
たとえば、大きな取引の重要部分で、納期に間に合わないことで大きな損害が危惧されるなら、重要性を理解してもらい慎重な作業を要求し相当な対価を支払うならば、相手も了解してくれるのだと思います。
いづれにせよ、貴社が一律に要求するポリシーとすれば、相手も特約をリスクと考えれば受注しないという自由もあると思います。 それが「契約自由の原則」だと思いますので。
> 契約書における損害賠償額の上限について皆様のご意見
> を頂戴いただければと思います。
横から失礼します。
確かにシステム開発契約や保守契約では、損害賠償の額の上限をシステム開発費用や年間の保守費用を上限としている場合が多いと私の経験からも思います。
> 悪意を持って当社に損害を与えた場合でもそのリスクは当
> 社が負うことになるという点がどうしても理解できかねる
> というのが偽らざる気持ちです。
「悪意を持って当社に損害を与え」るような会社と契約することに問題があると思います。このリスクは貴社が負うものではないでしょうか。
社員の不祥事に対して会社が責任を取るのと同様に契約した会社から損害を与えられたとしても実際には全額を請求することは難しいと思います。
システム関連の損害では、万が一、損害が発生しても「故意又は重大な過失があった場合」と断定するのは、さらに難しいのではないでしょうか。
また、システム関連では外国人による犯罪もありますので、総務からすれば、できるだけリスクを軽減したいところでしょうけれども、発注する側にも少なからず責任は生じます。
故意というのは犯罪ですよね。損害が発生しないように管理体制をしっかりすることが重要なのですが、いくら厳戒にしても万全ということはありません。
契約面だけでなく、現場でのコミュニケーションなどにより信頼関係を築いていくことが大切だと思います。
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