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育休

【2022年10月施行】改正育児介護休業法で育休の分割取得が可能に、企業の対応は?

2022.07.05

育児・介護休業法が改正されたことで、令和4年10月よりこれまで不可能だった育児休業の分割取得ができるようになりました。この法改正を受け、企業ではどのような対応を取れば良いでしょうか。今回は、法改正の内容を分かりやすくお伝えした上で、育児休業の分割取得を可能にするための社内体制づくりについて解説していきます。

育休分割取得の概要

育児休業は、働きながら子どもを育てる労働者が育児のために取得できる休業のことです。取得することができる期間は、男女の労働者でそれぞれ異なります。

育児休業の取得期間

女性労働者の場合は、出産後8週間に取得する産後休業が明けた後から、原則として子どもが1歳を迎える前日までの期間になります。一方、男性労働者の場合は産後休業がないことから、出産日から子どもが1歳を迎える前日までの期間が原則です。

なお、預け先の保育園が決まらない場合は子どもが1歳6か月を迎えるまで、その時点でも状況が変わらない場合は子どもが2歳を迎えるまで休業期間を延長することができます。

育児休業の取得方法

男女労働者ともに、前述のうち希望する期間について会社へ申し出ることで、育児休業の取得が可能になります。

会社側は、雇用期間が1年未満のケース(有期雇用・無期雇用問わず労使協定がある場合)や1年以内に退職する予定であるケース、週2日出勤などのケースなどの除外基準を除いて、育児休業取得の申し出を断ってはいけません。

育児休業の分割取得

これまでは、育児休業の分割取得は原則として認められておらず、取得時にはある程度のまとまった期間を休業しなければなりませんでした。そのため、特に男性労働者は仕事を休むことへの不安や抵抗感が強く、取得を躊躇する場合がありました。このような状況に対応するため法律が改正され、2022年10月より育児休業を2回に分割して取得することが可能になりました。

具体的には、子どもが1歳を迎える前日までの期間について男性労働者・女性労働者それぞれが育児休業を2回に分けて取得することができます。パパ・ママそれぞれが都合のつく時期に交代で育児休業を取ることができるため、より柔軟に育児と仕事の両立生活を送ることが可能になりました。

また、子どもが1歳を迎えた後の育児休業延長についても、これまでは1歳半、2歳になるタイミングで休業延長を開始しなければならないというルールがありました。しかし、今回の法改正ではこのルールを撤廃し、子どもが1歳以降の期間について育児休業を延長する場合の開始日の縛りがなくなりました。つまり、子どもが1歳以降になった期間のうち、前半の3ヶ月間の育児休業をママが、後半の3ヶ月間の育児休業をパパが取得するという方法も認められることになります。

【もっと詳しく】3段階の改正!2022年10月の育児・介護休業法改正における中小企業の対応ポイント【社労士が解説】

企業が準備すべきこと

育児休業分割取得についての概要を理解したところで、ここからは法改正を受けて企業側が対応すべき内容について述べていきます。

①育児休業を取得しやすい職場環境の整備

まずは、育児休業が特別なものではなく、気軽に取得できるものであることを社内に周知させる必要があります。今回の法改正では、育児休業の分割取得以外にも、産後パパ育休制度など取得を促進させるための制度が導入されています。改正内容や具体的な取得例などをまとめたリーフレットの配布や社内研修を実施する方法を用いて、社員に改正内容の周知を行いましょう。同時に、社員が育児休業に関する相談を気軽に行えるよう、人事労務部門内に相談窓口を設ける方法も有効です。

②取得が見込まれる労働者への個別周知・意向確認

2022年4月より、労働者本人や配偶者が妊娠・出産を申し出た場合、会社側は育児休業制度の概要や申し出先、育児休業給付の内容、育児休業期間の社会保険料の取扱いを周知させ、取得以降の確認をすることが義務づけられました。周知の方法は面談や書面、FAX、メールとなり、面談はオンラインでも認められています。

個別周知は、労働者の育児休業に関する理解を深め、取得への抵抗感をなくす目的で実施するものです。したがって、周知の際には今回の法改正で変更になった「育児休業の分割取得」についても知らせる必要があります。

③就業規則の内容変更

今回の法改正で変更になった内容については、当然ながら社内ルールが記載された就業規則の内容にも盛り込む必要があります。

その中でも、育児休業の分割取得に関する規定を反映させるポイントは、以下の通りです。

・育児休業の申し出を一子につき2回まで行うことができる旨の追加
・子どもが1歳6か月を迎えるまで、2歳を迎えるまでの期間の育児休業開始日については、それぞれの期間内に配偶者が育児休業をしている場合は、その配偶者の「育児休業終了予定日の翌日以前の日」とすることができる旨の追加

要約すれば、育児休業が分割できる点と、子どもが1歳以降の期間について育児休業を延長する場合の開始日の縛りがなくなった点の2点を、新たに育児休業の要項に加えるということです。産後パパ育休制度などの法改正による変更点とあわせて就業規則の変更を行い、社員への周知と必要な場合は労働基準監督署へ届け出を行いましょう。

【こちらの記事も】育休の欠員をどうカバーする?社員の負担を減らすための対策と復職者への対応

まとめ

育児休業の分割取得の概要や社内での対応内容についてお分かりいただけましたでしょうか。今回の法改正では、この分割取得の他にもさまざまな制度が変更になっており、会社全体での内容理解や各種対応が求められています。まずは厚生労働省のホームページなどで詳細内容を熟知し、社内へ実際に内容を落とし込みルール化していくための対応策を検討してみてはいかがでしょうか。

【こちらの記事も】育児・介護休業法の義務規定は?就業規則の記載方法のポイントも【社労士が解説】

*jessie / PIXTA(ピクスタ)