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TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 事業計画書とは?基本的な書き方と各項目ごとのポイント【わかりやすく解説】
事業計画書

事業計画書とは?基本的な書き方と各項目ごとのポイント【わかりやすく解説】

新しく会社を設立してビジネスを始める際には資金調達が必要になります。その際に重要になるのが事業計画書です。まだ設立して実績が何も無い会社にとって、事業計画書は信用の源。しっかりと書かなければなりません。すでに業歴が長い会社でも定期的に事業を見直すために事業計画書は役立ちます。本稿では事業計画書の作り方について解説します。

事業計画書とは?なぜ重要なのか?

事業計画書とは、金融機関などから資金調達する際に、事業計画の妥当性を説明する書類です。法律で規定されているような書類ではなく、あくまでも説明のための資料という位置づけです。しかし、この書類は会社にとって極めて重要なものとなります。

会社を設立したばかりのときは売上が安定して立つまで手持ちの資金で賄わないといけません。十分な資金を用意できなければ軌道に乗る前に資金が枯渇し、倒産する可能性もあります。製品開発が必要な業種なら長くなる場合もありますが、一般的な業種では、新しい事業が軌道に乗るまで3〜6ヶ月かかると言われています。つまり、会社立ち上げ時において3〜6ヶ月分の運転資金の目処を付けておかなければいけないのです。自己資金をたくさん持っていれば良いですが、足りない場合は金融機関からの借り入れで賄わなければなりません。

その際に金融機関に事業計画の妥当性を説明する書類が事業計画書です。つまり金融機関がお金を貸してくれるかどうかは事業計画書の出来にかかっていると言っても過言ではないのです。

【こちらの記事も】融資を受けるには、どうすれば?金融機関が「融資を避ける」中小企業の特徴と解決策

事業計画書のテンプレートと書き方のポイント

事業計画書には決まったフォーマットはありません。事業の全容が十分に詳しく説明されていればどんな形式でも良く、作成に使うツールもWordでもExcelでもPowerPointでも良いです。一般的には事業計画書には以下のような内容を書きます。

  • 事業の概要
  • ビジョン
  • 代表者の紹介
  • 従業員や組織の体制
  • 市場分析
  • 自社の強みと弱み、競合他社との違い
  • サービスや商品の概要
  • 仕入れ先について
  • 販売戦略
  • 財務計画

それぞれの項目ごとのポイントを解説していきます。

事業の概要

会社や事業の概要について端的に書きます。会社のホームページに書いている「会社概要」のようなイメージで書きましょう。

  • 商号(会社名)
  • 代表者の氏名
  • 所在地
  • 連絡先
  • ホームページのURL
  • 資本金
  • 簡単な事業の内容
  • 主要取引先

上記のような情報をまとめます。概要なので長くなりすぎないように箇条書きで端的に書きましょう。とくにホームページのURLは忘れないように書いてください。最近の金融機関は事業計画書だけではなくホームページの内容も判断基準にする傾向にあるからです。

ビジョン

事業のビジョンを書きます。ビジョンとは「なぜその事業をやる必要があるのか」「その事業は何の役に立つのか、誰の役に立つのか」「事業の社会的意義」などです。事業は誰かの役にたって初めてお金が貰えるものですので、このビジョンがしっかり書けているかどうかで事業の軸を判断されます。自分の事業は多くの人の役に立つのだとしっかりアピールしましょう。

代表者の紹介

代表者の経歴をまとめます。履歴書や職務経歴書に近いイメージですが、どこに所属していたのかだけではなく、今までどんな経験をしてきてどんなスキルがあるのかを見られます。実績のない法人にとっては、代表者が今までに培ってきたスキルや経験が信用の根拠となりますので、できるだけ具体的に細かく書きましょう。正式な職歴ではなくても事業領域に関係する経験があれば全て書いたほうが良いでしょう。

従業員や組織の体制

その事業に必要な人員、想定する組織の体制、その組織を構築するための計画を書きましょう。組織の規模や採用の形態によって人件費が変わってきますので、財務計画が妥当かどうかの判断基準にもなります。

市場分析

自社の事業内容に市場のニーズがどれだけあるかを書きましょう。これは「なんとなくあると思う」ではなく客観的な根拠と数値データを持って論理的に書くことが大事です。市場規模や市場の動向はインターネット上にある無料の情報だけでもかなりの情報が得られます。例えば以下のような情報が参考になります。

【もっと詳しく】経験と勘じゃダメ?事業計画に必要な市場調査のやり方と手順

自社の強みと弱み、競合他社との違い

自社の強みと弱みを分析し、それを書きましょう。弱みを書くのは気が引けるかもしれませんが、強みばかりを書いていても信憑性が薄くなってしまいます。むしろ弱みをしっかりと分析してどのように挽回するかをちゃんと書いていれば説得力のある事業計画書になります。

競合他社についても同じように強みと弱みをしっかりと分析しましょう。競合他社がどのような強みや弱みを持っているかによって、気づいていなかった自社の強みや弱みも発見できるかもしれません。

サービスや商品の概要

どのようなサービスや商品を提供するのかを詳細に説明しましょう。「その商品やサービスが何の役に立つのか」「どのような価値があるのか」「どのような方法でどれくらいのペースで生産できるのか」を詳しく書きます。

また、競合他社の商品との比較という観点も大事です。先行している競合他社と同じ商品では勝てないので、何らかの差別化をする必要があります。競合他社の商品には無い強みがあれば成功する可能性が高くなります。

販売戦略

商品だけあっても売上は立ちませんので、販売戦略についてもきちんと説明しなければなりません。「どの販売チャネルで売るのか」「どうやって顧客に商品をPRするのか」「顧客はどこからきてどのような経過をたどって購買に至るのか」その流れを図解などを使ってわかりやすく書きましょう。

仕入れ先について

商品が原材料を必要とするものであれば、仕入れについても説明しなければなりません。なぜなら仕入れによって売上原価率が変わってくるからです。「仕入れ先が何社あって、どの会社からどの原材料をいくらで購入するのか」その予定を書きます。まだ詳しく決まっていないならば、概算でもいいので「だいたい何をどれぐらいの金額で仕入れるつもりなのか」を数値化しましょう。

財務計画

財務計画とは、会社のお金がどのように推移していくかの予測と計画です。貸借対照表と損益計算書がどのように推移していくのかを予測し、月次単位で表にまとめます。緻密な計画を立てるのは難しい場合でも、最低限以下のレベルまでは決めましょう。

  • 損益計算書→売上、売上原価、粗利、販管費、営業利益、経常利益
  • 貸借対照表→流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、資本金、利益剰余金

財務計画は事業の計画が進んだときの実際の値と比較して適時修正したり、分析の指標として使ったりして事業の指針となります。

【もっと詳しく】
損益計算書とは?作り方や分析法、賃借対照表との違いも【わかりやすく解説】
貸借対照表とは?作り方や分析法、損益計算書との違いも【わかりやすく解説】

しっかりと事業計画書を書いて事業を軌道に乗せましょう

資金調達の際、金融機関は事業計画書を元に事業の妥当性を判断します。また、事業を推進していくにあたって指針の役目も果たします。まだ設立して実績が何も無い会社にとって、事業計画書は生命線とも言えるのです。そして、これは業歴が長い会社でも同じです。定期的に事業計画書を書いて現在の状況を細部まで言語化すると事業の見通しもクリアになってきます。事業計画書を上手く活用して会社を安定成長の軌道に乗せましょう。

*タカス、freeangle、マハロ / PIXTA(ピクスタ)