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団結する社員

【経営者必見】安易な「組織変更」は危険?実行時の注意点や成功させるために必要なことを解説

2023.02.16

新しい部署を立ち上げる場合や社員の配置上の関係で急きょ変更を迫られた場合など、会社が組織変更を行うケースにはさまざまな内容が挙げられます。しかし、組織変更は会社にとって転換点となるような重要なプロセスであり、成功させることで大きな成長のきっかけとなります。今回は、組織変更を行う際に気をつけておかなければならない懸念点や、問題が起きないような対策について、順を追って解説していきます。


組織体制の変更とは

組織変更とは、会社の業務内容を変更したり、業務の効率をより高めるなどの理由から組織そのものの体制を変更することをいいます。具体的に、以下のような観点から実施することがあります。

・部署の分散・合併・新設などを行う
・人事考課制度・人材配置・就業規則・賃金規程・業務フローなど社員を取り巻く体制を変更する
・社内ビジョンや社員の意識改革を実施する場合

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組織体制の変更がなぜ必要か

理由として主に3つの変化が挙げられます。

①時代に伴う市場の変化など

昨今は、急激に進んだIT化により企業の業務体制や業務フローなどが大きな変化を続けています。デジタル社会が日進月歩の発展を遂げたことで、これまでは時間をかけていた作業が瞬時にできるようになるという便利な一面が見られるものの、同時に”待つこと”を苦手とする人が増えたことも事実です。流行のスパンは短くなり、何かが話題になったと思えば翌日には別のものが人気を博すということも少なくありません。

このような現代においては、時代の流れに合わせてビジネスモデルを変革していくことが何よりも重要になります。組織体制の変更もその対応策の一つであり、柔軟な対応が求められるのです。

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②次世代の目標設定

企業が今後も発展し生き残っていくためには、長期的な視点でものを見つめる必要があります。そのためには、数年後、十数年後を見据えた計画を策定し、実際にどのような形で企業を成長させていくのかを可視化する方法が有効です。

実際に計画を立てた企業では、新たに経営目標を立て直すケースが多くみられます。その際に現在の組織に限界を感じたとしたら、体制を変更させていくことも視野に入れる必要があるでしょう。

変化の激しい時代ですので、十数年後と考えていたことが1年後に縮まったり、大きな社会変革が起こって目標が無意味になったりすることもあるかもしれません。そのときも、すみやかに組織変更をする必要があるでしょう。

③会社を立て直す場合

昨今は、世界的に不透明な経済情勢が続き、また新型コロナウイルス感染症が蔓延した影響で思うように運営が進まない会社が多くみられます。不況のあおりを受け、雇用調整や経営再建などを行う必要に迫られた場合、組織を立て直していくために体制の見直しと変革が必要になるでしょう。

その際には、実際の組織体制の変更に加え、社員が抱く会社への不信感や低下したモチベーション、業務内容の変化や時間外労働の負担などに注意しながら、慎重に体制変更を進めていくことが求められます。

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組織体制の変更時に起こりうる問題とは

組織体制の変更の概要や必要となるタイミングについてお分かりいただけたところで、ここからは実際に組織体制の変更を行う際に気をつけなければならない問題点について列挙していきましょう。

①慎重派社員の存在

どのような組織の中でも、従来のやりかたを尊重する社員が存在します。しかしその実像は変化によって現在の地位や業務内容、利益を失う可能性を恐れ、変革を良しとしないタイプです。具体的には、一人前の社会人として守るべき家族がいる社員が収入面において不安を抱いた瞬間に賛同を得られない場合や、一定の経験やスキルを積んだ社員が新たなやり方を学び直すことに面倒さを感じる場合などがあります。

このような不安を覚えている社員に対して強引に組織体制の変更を断行することは、モチベーションの低下につながる恐れがあります。対応策としては、組織体制の変更を行う理由や今後につながる利点について辛抱強く伝え、組織全体が前向きとなるように促していく必要があるでしょう。

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②管理職全体の意思統一ができていない

社内のトップである社長や経営陣が「組織体制の変更が必要である」と感じ、実践をしていこうとしたとしても、中間管理職の意識改革が思うように進まず、現場への向き合い方がうまくいっていないケースが挙げられます。

社員全体の意識を変え、同じベクトルで業務を進めていくためには、現場と直結する係長や課長、部長など中間管理職が適切なリーダーシップを執ることが必要不可欠です。組織体制の変更を行う際には、最初に中間管理職の意思統一が必須となります。一般社員に対して組織変更の共感を得た上で実際に取り組んでいくのは、その次のプロセスといえるでしょう。

組織体制の変更を成功させるためにできること3つ

組織体制の変更を行う際に気をつけるべき問題点について理解したところで、この項目では組織体制を適切に変更していくためのコツについて伝授をしていきます。

①目的と目標を具体的に提示する

たとえば、スポーツチームが団結力を高めていくために「〇〇大会での優勝」など、具体的な目的を掲げて努力を重ねていく場合があります。会社が組織体制の変更を成功させるための取り組みも同様で「いかに分かりやすく、社員の共感を得られるような目標を設定できるか」にかかっているといっても過言ではないでしょう。

そのためには、具体的な数値目標を盛り込むなど、社員が具体的なイメージを抱きやすいような内容にすることが有効となります。「これから努力すれば、このような恩恵が得られる」というイメージが湧くことで、社員のモチベーションがアップするという仕組みです。

さらに、「目標を達成した際には、賃金面や待遇面などどのような対価があるのか」という内容まで提示できれば、なおよいでしょう。

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②改革を実践しなかった場合の危険性を発信

前項目で述べたように、組織改革を行う際に掲げる目標やメリットを伝える際には、同時に組織改革の変更を行わなかった場合のデメリットについても伝えることが重要です。改革をしなかった場合の業務内容や将来起こりうる損失、社員の待遇などを伝えることで、社員全体に危機感が生まれ、意識の変容へとつながります。

ただし、不安を煽りすぎる方法も社員の混乱を招き逆効果となるため、メリット・デメリットの提示については適切なボリュームを心がけるようにしましょう。

③多視点からの変革を心がける

組織変更は、単に部署名を変更したり、部署を合併・廃止したりすればよいというものではありません。それに加え、就業規則などに盛り込まれた社内ルールの変更や適切な人材配置、社員へのビジョンの定期的な発信など、社員を取り巻くさまざまな面からのアプローチが必要になります。

実際に組織改革を行う場合は、ビジョンの社内提示や具体的な変更内容について必要に応じた社内研修や面談を実施し、また不明点に対応するための相談窓口を設けるなどのきめ細かい対応が効果を発揮するでしょう。

まとめ

組織体制の変更は、会社のこれからを担う重要なプロセスであり、会社が生き残っていくための有効な対応策となることがお分かりいただけたでしょうか。経営陣、管理職、社員それぞれが組織変更の内容や必要となる理由を理解し、モチベーションを保ちながら実践するためには、事前準備が必須となります。実際に組織体制の変更に取り組む場合は、まずはどのような問題点が想定され、どのような方法で解決をしていくべきかを入念に検討する必要があるでしょう。

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*efuroku, emma, OKADA, わかし, bebe / PIXTA(ピクスタ)

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