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頭を抱える経営者

人が全然定着しない…経営理念が浸透していない会社の共通点3つと改善策

2023.01.24

「中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート(令和4年3月株式会社東京商工リサーチ)」によると、経営理念や企業理念が、社員の一部ではなく組織全体に浸透している会社ほど「社員のモチベーション向上」「自律的な働き方の実現」「自社への愛着度の向上」等という効果が出ているという調査結果があります。

この調査が示しているように、経営理念や企業理念の浸透は企業経営において良い影響を及ぼすといえます。しかしその一方で、経営理念・企業理念を組織全体に浸透させるのは決して簡単なことではありません。理念浸透がうまくいかないために、例えば「組織の風通しが悪い」「人材が定着しない」「生産性が上がらない」というような問題が起こることもあるでしょう。

そこで今回は、経営理念・企業理念が浸透していない会社の共通点を挙げながら、どのようなアクションを起こしていけば理念浸透をできるのかについてお伝えしていきます。

経営理念・企業理念浸透の重要性とは?

どんな会社も何らかの”目的”を持って創設され、その目的を実現するために商品やサービスを展開しているといえるでしょう。経営理念や企業理念とはこの目的となるものであり、創業以来の価値観や信念が結集された「最終的に目指すべき理想的な姿」を明文化したものになります。経営理念や企業理念を定めることで、経営者としても「何のために経営しているのか」、「自社の存在価値は何か」という軸ができ、それに基づき意思決定することで一貫性のある判断をすることができます。

また、理念を浸透させることで、社員から見ても「会社の方向性がわからない」というような不満は減るでしょう。何より、社員が確固たる基準のもと主体的な判断や行動ができ、組織としての一体感を醸成しやすくなります。そのほかにも、理念が深く浸透していけば、その価値観に共感する優秀な人材の定着や採用にもつながっていくことが期待できるでしょう。

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経営理念・企業理念が浸透しないとどういうことが起こるのか?

それでは理念が浸透していないとどのようなことが起こり得るのでしょうか。

1:経営者への不満・不信感が増える

理念が浸透していないと「何のために働いているのか」や「会社は将来どこに向かっていくのか」が社員に伝わりにくくなります。そのため、経営者が意図していないにもかかわらず、言葉の端々から「売上しか考えていない」、「社員のことを大事にしていない」と、誤解を生んでしまうことがあります。営利目的で会社を経営している以上、売上を上げることに高い意識が向けられ、社員に負荷がかかることもあるでしょう。しかし、その先にある理念が浸透しているか否かによって、社員の捉え方は大きく変わるといえます。

2:社員が主体的な行動を取りづらくなる

理念が浸透していないと、社員の日々の意思決定や行動の基準が曖昧で一貫性のないものになってしまいます。判断基準が不明確なことで主体性を発揮しづらくなり、細かい決めごとが無ければ行動に移せないということもあります。また、共有している明確な価値観がないことで、それぞれが目指している方向がバラバラになりチームワークが醸成しにくくなるでしょう。

3:生産性が上がらず業績向上につながらない

ここまで述べてきたことの結果ともいえますが、理念が浸透していない会社では社員の生産性が上がりづらくなります。「会社の目指すもの」が理念として明文化され組織全体に浸透していれば、社員は共通の目標に向かってぶれずに取り組むことができ、チームワークの発揮も期待できるでしょう。しかし、理念が浸透していない状況では、期待される行動や判断との間にギャップが生じ、その積み重ねにより生産性が上がらないということが起こり得るのです。

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浸透していない会社の共通点3つと改善のファーストステップ

1:そもそも理念について社員が理解できるように伝えていない

理念が浸透しない原因として「社員が理解を深められるように伝えていない」ということが挙げられます。例えば、「理念を会社パンフレットやホームページに記載しているのに浸透していない」ということはないでしょうか。このような場合、理念が単なる言葉として捉えられていて、その背景にある考え方や思いが伝わっていない可能性が高いです。

経営者自らが理念の背景にある考え方を説明することが大事

このような場合、まず経営者自らが理念についてより詳しく説明することが重要です。経営理念や企業理念は、必ず何らかの思いを込めて策定しているはずです。理念の一言一句について「なぜその文言を使っているのか」、「なぜその表現なのか」ということや、これまでの歴史の中での出来事と結びつけて説明することも有効でしょう。社員の日々の取り組みと関連させながら定期的に理念を振り返るような機会を持つことで、さらに社員の理解も深まっていくと考えられます。

2:具体的な行動レベルまで落とし込まれていない

一般的に理念は抽象的なものであり、社員の日々の活動とどう関連しているのかイメージしづらいことが多いといえます。そのため、理念の内容が理解されていたとしても、社員の取り組みには反映されづらいということが起こります。

理念を実現するために必要なことを行動レベルまで落とし込む

「理念実現のために何をすればよいのか」ということを明確にするために、”行動指針”として特に重要な考え方をまとめることが重要です。

例えば、スターバックスコーヒーでは”Our Values”として以下を定めています。

私たちは、パートナー、コーヒー、お客様を中心とし、Valuesを日々体現します。
お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります。
勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます。
スターバックスと私たちの成長のために。
誠実に向き合い、威厳と尊厳をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします。
一人ひとりが全力を尽くし、最後まで結果に責任を持ちます。

スターバックスコーヒーは、パート、アルバイトレベルまで理念が浸透している企業として有名ですが、このような行動指針を定めているからこそ、従業員一人ひとりが主体的な行動に移すことができるのだと考えられます。

3:理念を体現できるリーダーが少ない

経営者だけが理念実現のための行動を率先して行っていても、なかなか組織全体に浸透させるのは難しいといえるでしょう。理念を体現し下位の階層に伝播することができるリーダーの存在が不可欠です。特に「理念を策定したばかり」、「ほとんど理念が浸透していない」という場合は、そのようなリーダーを意識して育てていくということが重要です。

経営者と関わる機会を増やす

理念を最も深く理解し体現している経営者と関わることができる機会を増やすことで、どのような基準にもとづいて行動し、意思決定するかということを見て学ぶことができるでしょう。例えば、取引先との面談に同席する機会を増やすように働き方を変えていくことで、交渉や意思決定の場面を通じてその先にある理念にどうつながっていくかを体感できるはずです。そのほかにも、リーダーとの個別面談を定期的に行い、業務の振り返りや将来の目標等について話し合う中で、理念実現のための価値観を伝えることもできるでしょう。

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まとめ

今回は、経営理念・企業理念が浸透していない会社の共通点を挙げながら、改善方法を解説しました。社員が気持ちよく働くためにも理念を浸透させることは重要です。また、社員が理解できる内容になっているか、理念が行動できるまでに落とし込まれているかなど、ぜひこれを機に考えてみてはいかがでしょうか。

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【参考】中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート / 東京商工リサーチ

*buritora, kikuo, Graphs, Luce / PIXTA(ピクスタ)

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