登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > コーチングとは?社員と会社のエンゲージメントも高めるためには
コーチング

コーチングとは?社員と会社のエンゲージメントも高めるためには

2023.09.25

リーダー育成や若手定着に悩む経営者は多いのではないでしょうか。最近では「管理職になりたくない」「入社3年以内に辞めてしまう」という問題もよく耳にします。そのような中、人材育成の手段として“コーチング”が注目されています。

本稿では、「コーチングを自社でも取り入れたい」「具体的に何をどう進めればいいのか」という経営者に向けて、社員と組織を成長させる“コーチング”について解説します。

コーチングとは

コーチングとは、個・チームの目標達成に向けた成長を促進する手法のことです。社員の主体性・モチベーション向上、潜在能力を引き出すなどのメリットがあります。コーチングの特徴として、以下の点が挙げられます。

特徴1:対話的アプローチである

コーチ(コーチングする人)はクライアント(コーチングを受ける人)の自己発見・自己探求を進めるサポート役を担います。コーチが適切な質問を通じてクライアントの深層に潜む考えや気づきを引き出し、自己認識を深める手助けをします。

特徴2:目標設定・アクションプランが重要

コーチはクライアントと共に具体的な目標を設定し、その達成に向けたアクションプランを立てる手助けをします。クライアント自身が望む成果を達成するための道筋を一緒に考えます。

特徴3:自己認識を深められる

自身の価値観や信念、強みを理解し、それを活かして行動する方法を探求します。

特徴4:フィードバックと振り返りが大切

成功や失敗に関わらず、進行状況や学びの実践度合い、行動の結果を振り返り、フィードバックをしながら、次のステップに進むための道筋を調整します。

コーチングの手順とは

コーチングは、個の成長支援・パフォーマンス向上だけでなく、リーダーシップ開発、キャリアデザイン、健康管理などさまざまな領域で活用されています。

組織開発の一つの術として、自社のどの領域でどのようなプログラムとして取り入れるかを考えていくとよいでしょう。

具体的な手順は、以下の通りです。

  1. コーチとクライアントとの信頼関係構築
  2. 目標設定・目指す成果の明確化
  3. コーチングセッションをどのような頻度・形・期間で行なうのか計画を立てる
  4. コーチングセッションの実施・目標に向けたアクションプラン策定
  5. 定期的な進捗把握とフィードバック
  6. 振り返りと継続的なサポート

一回で完結するものではないので、継続的に実施していきましょう。

【こちらもおすすめ】どうしたら社員の本音を掴める?経営者が知るべき「社員とのコミュニケーション術」3つ

重要なのはコーチングを導入する目的

企業がコーチングを導入する際には、まずはその導入目的を明確にし、共有することが重要です。

何のためにコーチングを導入するのか考え、どのような成果・状態に至ることを期待するのかを明確にします。そして、対象者だけでなく社内全体に共有します。コーチングは有効であるという考えだけで走るのではなく、「成長促進したい人材にコーチングを受けさせる」のか、「成長促進したい人材にコーチングスキルを身に付けさせるのか」など社内でしっかり議論した上で、いきなり育成プログラムとして取り入れるのではなく、幹部・管理職層に周知理解を促すなど社内全体の理解を促すプロセスを丁寧にたどっていくことが重要です。

社員にコーチング受けさせる場合

そして、「コーチングを受けさせる」のであれば、適切なコーチを選定します。社外機関のコーチに依頼するのであれば、資質やスキルはもちろん、自社の組織文化や価値観への理解があるかどうかも重要です。

社員にコーチングスキルを身につけさせる場合

もしくは「対象者にコーチングスキルを身に付けさせる」のであれば、そのスキルを活かし、さらに他者(部下や後輩など)へコーチングをする役割を担う、日常のコミュニケーションで活かしていく、あるいはセルフコーチングを促す、などゴールを明確にします。

コーチングを受けた社員が、自らコーチングスキルを身に付けて、部下へコーチングを行ったり、セルフコーチングスキルを習得し自己変容を後押ししていくことは効果的です。アウトプット(コーチングの実践)を意識してインプット(学習)することで、理解は大きく広がります。

コーチングを導入する際の注意点

もしメンター制度や研修の場を活かして社内でコーチングを展開していくのであれば、プライバシーと機密性をどのように守っていくのか、あらかじめ仕組みやガイドラインを考えておくことも必要です。対象者の個人的な考えを安易に共有することがないように守秘義務に関するルールづくりや、安心して対話できる環境を整えておきましょう。

導入して完了ではなく、コーチングを組織文化、対話的コミュニケーションとして職場に定着させていきたいのであれば、実施したコーチングプログラムやチームの状態について、対象者だけでなく関係者からフィードバックを集め、継続的に改善していくことも必要です。

コーチングによって気づきのアンテナが磨かれ、問いを立てる力や内省する力が高まれば、職場で当たり前に動いているシステムに対しても違和感を感じやすくなります。その違和感を吐露できず自分の中に抱え込むと、モヤモヤ感として蓄積され、否定的な思考が強まったり他者への信頼感が低下したりということにもなりかねないので注意しましょう。

社員と企業のエンゲージメントをどう高めるか

コーチングプログラムは、組織のエンゲージメントを高めることにも役立ちます。その場合、個々が自己認識を深め、個性を育んでいくことが重要です。一人ひとりの内面には多様性があります。「こういう顔ぶれの中ではこの強みが発揮される」「こういう状況に置かれると強みが出づらくなる」など、自身の中にある多様な一面をまずは自己認識し、組織におけるさまざまな場面・局面でどのように活かしていけるのか、内省したり対話の場を設けることが効果的でしょう。

企業としても、社員一人ひとりがもつ個性を一面的に捉えるのではなく、組織のありたい姿・ビジョンを描いた上で、その内側にある多様な個性を職場のどのような状況・役割で活かしていくのか、そのためにどのような機会・場を創っていくのか、「個々に寄り添い個性を活かし合う職場をつくる」というスタンスで向き合っていく必要があるといえます。

コーチングなどの人材開発プログラムを企業として取り入れる際は、個々が持つ健全な違和感をお互いに健全に吐露できる職場風土を醸成すると共に、「まずはやってみよう」「行動して学び合おう」という前向きな思考が促される組織をつくっていく必要があります。

【こちらもおすすめ】中途社員が定着しない…見落としがちな中小企業の人材確保のワナ

*Lukas, タカス, kikuo, ふじよ / PIXTA(ピクスタ)