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コーチング

経営者は孤独…プレッシャーは大丈夫?忘れがちだけど重要な経営者のメンタルケア

「経営者は孤独である」とよく耳にします。ビジネスは判断の連続ですが、経営者が判断するのは会社の業績を左右する事項ばかりです。

日々重要な判断や指示を行う経営者・経営陣の精神は常に張り詰めています。この経営者のメンタルに寄り添い、さらに意思決定を盤石に導く存在として相談役(コーチ)を取り入れるという選択肢を取る人もいるようです。

今回は孤軍奮闘する経営者が相談役(コーチ)を持つことのメリットや注意点、コンサルタントとの違いについて解説します。「経営者として、もう一段強い“芯”が欲しい」と思われている方や、「具体的にどんなメリットがあるか分からない」という方は、参考にしてみてください。

中小企業経営者こそ相談役を

グローバル化や技術革新による環境変化だけでなく、昨今はコロナ禍の影響によってビジネスシーンの変化は加速しています。中小企業においても、既存事業の延長線上では考えられなかった課題が増えているのではないでしょうか。

経営層の強いプレッシャーや孤独感、不安感を解消する手段として注目されているのがコーチングです。コーチングとは、対話によって相手の自己実現や目標達成を支援するコミュニケーション手法のことです。コーチが相手の話を傾聴し質問を投げかけることで、自発的な行動や成長を促すことが可能とされています。事業や従業員への責任を一手を担うことが多く、一人で悩みがちな中小企業の経営者にこそ、取り入れていただきたい手法です。

コーチ(coach)の語源は“馬車”といわれています。馬車は乗客を現在地から目的地まで送り届けることから、教育分野やスポーツ分野などで幅広く指導者を表す言葉として用いられるようになりました。不透明な時代だからこそ、経営者には利害関係のない相談役(コーチ)という存在が求められているのです。

コーチングを導入するメリット

経営者がコーチングを導入するのには、どのようなメリットがあるのでしょうか? 経営者本人のみなならず、組織や会社に与える影響から考えてみましょう。

メンタル面の強化

コーチング導入の第一のメリットとして、経営者の精神面の安定が挙げられます。

会社での立場が上になればなるほど、周囲からのフィードバックは少なくなりがちです。若手の頃は、あらゆる場面で先輩社員や上司に相談を持ちかけ、意見をもらっていたことでしょう。しかし経営者の場合、弱い部分を周囲に見せられなくなる傾向あり、気軽な相談ができなくなり、孤独感が増していきます。

会社の意志決定をする際にメンタルのコンディションが悪く、プレッシャーや不安に押しつぶされてしまっては、誤った決断をしてしまうリスクも高まります。そのため、経営者には特に良好な心理状態が重要になるのです。

相談役(コーチ)はそんな環境において、経営者のよき相談相手になってくれます。自分の気持ちを理解してくれる人が近くにいるというだけでも、メンタル面の強化が期待できます。

意思決定スピードの向上

コーチングを受けた経営者は、意思決定や判断がよりスピーディになる傾向があるといわれています。安心できる環境で“自分で決める”経験を繰り返すことで、経営者は実際の仕事場面でも速やかに意思決定をすることができるようになるのです。

これはコーチングならではの手法が関係しています。相談役(コーチ)はあくまで“壁打ち相手”の役割で、最終的に課題を言語化することも、意思決定することも経営者本人です。なお、似たコミュニケーション手法として、しばしばティーチングと混同されることがありますが、ティーチングでは経営者にダイレクトに知識やスキルを教えます。

組織力の強化

コーチングを通して自分の凝り固まった考えや価値観に気づくと、経営者は周囲のことも多様な視点から捉えられるようになります。例えば、「自分同様、部下にも失敗は許されない」と思っていた経営者が、「失敗はチャレンジした証だ」という考えに変われば、失敗した部下にも温かく接することができるでしょう。こうして、部下がどんどん新しい挑戦を続けるような風土が形成できれば、変化に強い組織の土台となります。

なお、経営者本人ではなく、後継者育成目的で組織力強化をはかりたい際もコーチングは活用できます。将来の経営幹部候補者を対象として、次世代リーダーの人材育成をコーチングで行うケースです。経営ポジションに就く前にコーチングを行うと、リーダーとしての考え方やコミュニケーションのあり方が体験でき、自己を見つめ直す機会となります。次に続く経営者候補をコーチングで育成することができれば、さらに組織の基盤は強化されるはずです。

コーチング導入時の注意点

コーチングはメリットが大きいですが、注意すべき点もあります。

コーチに頼り過ぎない

中小企業の経営者の方には、外部の専門家に頼る機会も多いかと思います。例えば、専門コンサルタントから知識や経験から具体的なアドバイスをもらいながら、新規事業を推進していくような場合です。コーチングを受ける際は、このようなスタンスはおすすめできません。

なぜなら、コーチングは、発問などによって本人に気づきを与えるアプローチです。これまでのコンサルタントの課題解決に慣れている経営者は、ついつい相談役(コーチ)に答えを求めがちになってしまいます。「どうすればいいのか?」や「どちらの選択が最適か?」などの解を欲しても、コーチングでは得ることはできません。

あくまで“答えは自分の中にある”というスタンスでコーチングにのぞむことで、コーチング本来の目的である経営者が自走する状態をつくるのです。

自分に合ったコーチを選ぶ

コーチングの実施期間は一般的に半年~1年程度で、月に1~2回の頻度で1対1の面談を行います。価格は通常のコーチングが1回あたり2万円前後が相場なのに対し、経営者向けのコーチングの費用の目安は、5万円前後が多いです。

時間とコストをそれなりに投じることになるので、相談役(コーチ)との相性やコーチングで扱うテーマは事前に慎重に調べる必要があります。コーチングで取り扱うテーマは、経営課題に焦点を絞ることが多いですが、基本的には経営者自身の関心事によって異なります。

例えば「苦手なタイプとのコミュニケーション」や「セルフコントロール」など、経営者個人の課題やプライベートもテーマとして扱います。事前に相談役(コーチ)の資格や経歴、得意なテーマをチェックし、コーチングで解決したいことや相談役(コーチ)との相性を確認することをおすすめします。

コーチングを導入するには?士業への相談も

最後に導入にあったてどう進めればよいのかを紹介します。

まずはトライアル的にコーチングを受けてみて、自身にとって役に立ちそうか試してみることをおすすめします。コーチングそのものの必要性はもちろん、自身に合った相談役(コーチ)なのかを確認しましょう。経営層向けのコーチングを行っている団体には、体験セミナーやオンラインコーチングを無料もしくは安価で行っているところが多いです。インターネットで検索して情報収集したり、信頼のできる経営者仲間におすすめのコーチングを聞いたうえで、トライアルを行ってみてはいかがでしょうか?

また最近は、弁護士や社労士の方で民間のコーチング資格を取得している人も増えています。経営実務の相談も兼ねるとコーチングが導入しやすいと思うので、参考にしてください。

まとめ

昔気質の経営者の方からは「自分にはコーチなんていらないよ」という言葉を耳にすることもあります。しかし、一人でありとあらゆる決断を迫られ、多忙な毎日を送っておられる経営者だからこそ、 コーチングのメリットが得られやすいのです。

一流のアスリートには皆コーチが付いているように、経営者にもコーチという支援者がつけば、経営者本人のみならず、組織全体で盤石な経営が推進できるようになるでしょう。

【参考】
A SURVEY OF EXECUTIVE COACHING PRACTICES』 / Personnel Psychology

* jessie / PIXTA(ピクスタ)