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悩む経営者

優秀な経営者の強みは意思決定?よい意思決定を行うためのプロセスとは

企業における意思決定とは、目標達成のために課題解決の手段や実行方法などについて選択していくことです。これは企業の業績向上、チームの結束力強化、組織の持続可能性など、さまざまな要素に影響を与えます。

しかし、“意思決定”と一口にいっても、漠然とした言葉であるため、なかなかイメージが掴みにくい面もあるかもしれません。本記事では、意思決定のプロセスについて詳しく解説します。

意思決定とは?

意思決定とは、「企業の目標達成のために、実行可能な複数の選択肢から最適なものを選び出そうとする行為」を指します。

企業の経営者やマネージャーは、利益を最大化し、リスクを最小化するための最善の行動を選択しなければなりません。意思決定によって企業の行動を選択していくプロセスは、事業の成功または失敗に直接影響を与え、組織全体の方向性を決定します。したがって、意思決定は単に“選択”をする行為ではなく、組織の未来を形成する重要な企業活動の一種といえるのです。

意思決定には内外の多様な要因が影響を及ぼすことがあり、常に完璧な意思決定をするのは非常に難しいです。スキルや経験を豊富に有する経営者やマネージャーが、適切な情報に基づいて意思決定することにより、よい結果に繋がりやすくなります。

意思決定の重要性

意思決定が重要なのは、間違った選択が後々に大きな影響をもたらすからです。適切な意思決定がなされないと、個人や組織全体に大きな損失や影響が出る場合があります。

たとえば、1985年、とあるアメリカの飲料メーカーは、競合他社との競争に打ち勝つために100年間続く伝統の主力商品の味を変更するという思い切った手を打ちました。しかし、この決定は悪い結果をもたらしました。最初は消費者の反応も良好でしたが、徐々に旧製品のファンが不満を口にするようになり、コールセンターに苦情が殺到したのです。その結果、味の変更から約2ヶ月半で旧製品を復活させることとなりました。この失敗は、消費者のニーズが味だけに基づいているわけではないという事実を見落としたのが原因でした。消費者は味以外にも愛着や個人的な思い入れなどのさまざまな要素によって商品を選んでいたのです。

この事例は適切な情報に基づく意思決定がなされないと、大きな損失が出てしまうリスクを示しています。意思決定の過程で正確な情報収集や客観的な分析が欠如すると、予期しない問題や危機に直面するリスクが高まるのです。

円滑な意思決定が組織に与える影響

では、円滑な意思決定は組織にどのような影響を与えるのでしょうか。それは主に以下の3つが挙げられます。

1. 業務の効率化

円滑な意思決定は業務の効率化に直結します。たとえば稟議を回すときに、一人ひとりの決裁者の意思決定に時間がかかってしまうと、業務フロー全体の意思決定が長くなり、業務が動き出すまでに時間がかかるでしょう。

そこで、明確な決定が速やかに下されることで、業務フロー全体のスピードが上がり、計画の遅延や混乱が減少します。これは、業務フロー全体の生産性を向上させるために重要なことです。

また、迅速な意思決定は、新たな課題や変化に対応する能力を高め、組織全体の競争力を強化します。たとえば、市場環境の変化などへの対応が遅れると不利になってしまうでしょう。

2. チームビルディング

チームビルディングにおいても、円滑な意思決定が重要です。自分の意見がチームの意思決定に反映されると、そのメンバーはチームを信頼するようになります。メンバーはチームに対する帰属意識が強くなり、一体感が生まれるのです。

また、意思決定の際には各メンバーの視点や考え方を理解しなければなりません。その過程でチーム内のコミュニケーションが活性化します。これは、チームの結束力を高め、よりよい結果を生み出すための土壌をつくります。チームにおいて適切な意思決定のプロセスが確立されていることは、チームビルディングの成功にとって不可欠な要素といえるのです。

3. 組織の持続可能性

円滑な意思決定は、企業の持続可能性に大いに寄与します。なぜなら、意思決定が円滑ならば、企業の方向性がより柔軟で適応力のあるものになるからです。

状況に適応的な意思決定を行うことで、突発的で予期できない問題や危機に対しても企業は迅速に対応できるようになります。逆に意思決定のプロセスが円滑に進まない場合には、競合他社よりも判断が遅れたり、間違った判断をしてしまうリスクが高くなるでしょう。

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意思決定のプロセスとは

意思決定のプロセスは、複数の段階から成り立っています。

  1. 意思決定が必要な課題を明確にする
  2. 意思決定に必要なデータや知識を収集する
  3. 収集したデータや知識を元に、考えられる解決策を洗い出す
  4. 各解決策がもたらすメリットとデメリットを比較し、選択肢を選ぶ
  5. 解決策を実行する
  6. 意思決定プロセスを改善する

このような一連のステップを経ることで、よりよい結果を得ることができるでしょう。なぜなら、一定のプロセスによる意思決定は経験や勘に頼るよりも、計画的で合理的な意思決定を促すからです。また、一定のプロセスに基づいて意思決定することにより、プロセスを改善していくことが可能になります。

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円滑な意思決定に必要な3つのポイント

円滑な意思決定には何が必要なのでしょうか? 主に3つのポイントが考えられます。

ポイント1:明確なコミュニケーション

円滑な意思決定をするには、明確なコミュニケーションが不可欠です。なぜなら、すべての関係者が企業の目的、根拠となるデータ、そして意思決定の基準を明確に理解している状態が意思決定のための理想的な状態だからです。

組織内の風通しをよくし、意思決定に関わる人すべてに必要な情報が開かれていることで、最適な意思決定が可能になります。

ポイント2:正確で関連性の高いエビデンス

意思決定には、市場のトレンド、顧客のフィードバック、財務データなど、現状を把握するための情報が必要です。

データによって現在の状況を正確に把握しなければ、将来の可能性を予測することはできません。堅牢なデータ収集と分析システムを持つことで、企業はエビデンスに基づいた意思決定を行うことができ、リスクを最小限に抑えられます。

また、このようなエビデンスは、意思決定の透明性を高め、ステークホルダーとの信頼強化にも繋がります。

ポイント3:企業のビジョンと目標との整合性

企業の意思決定は、大きな決定であれ小さな決定であれ、その企業の包括的なビジョンと方向が一致しているべきです。なぜなら、企業の方向性が一貫していなければ、迷走してしまって長期的な目標が達成できなくなるからです。

たとえば、企業がSDGsを重視するビジョンを掲げている場合、その全ての決定は環境への影響を最小限に抑えることを考慮しなければなりません。また、各個別の意思決定の背後にある大きな目的を全員が理解することで、チームの結束が促進される効果もあります。

まとめ

企業における意思決定が、企業の業績向上、チームの結束力強化、組織の持続可能性など、さまざまな要素に影響を与えるということをお分かりいただけたでしょうか。意思決定を適切に行うには、客観的なデータに基づいて判断すること、一定のプロセスに基づいて判断し、改善を繰り返すことなどが重要です。スピーディな意思決定が苦手だという企業においては、まずはプロセスづくりから始めてみてはいかがでしょうか。

*saki, takeuchi masato, Mills, tadamichi, kikuo / PIXTA(ピクスタ)