
事業再構築補助金についておさらい!申請前に知っておきたいポイントを解説
事業再構築補助金は、新型コロナの影響で業績が下がってしまった中小企業を支援するために2021年に始まりました。
現在では新型コロナは落ち着きつつありますが、社会や経済の変化に合わせて中小企業に新しい取り組みをしてもらうため、事業再構築補助金の運営はまだ続いています。補助金申請に向け、事前に条件などをおさらいしておきましょう。本記事では事業再構築補助金について解説します。
目次
事業再構築補助金の概要・目的
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で経営に困っている事業者のために作られた制度です。新型コロナ後の新しい時代に対応するために、思い切った事業の立て直しに挑戦する事業者を支援する目的があります。
補助率は事業の規模や条件によって変わりますが、おおむね2分の1~4分の3が補助されます。つまり1,000万円の投資が必要な事業なら、自己負担額は250〜500万円ですむのです。
補助金を受けられる条件
事業再構築補助金は誰でも受けられるものではなく、受給にはいくつかの条件があります。
まず、事業計画書の記載。ただ書けばいいというものではなく、認定経営革新等支援機関※の確認を受けることが申請の条件です。よって、まずは認定経営革新等支援機関を探す必要があります。
※中小企業や小規模事業者の経営課題を解決支援する専門知識を有しているとして、国が審査し認定した税理士、弁護士、金融機関などです。2012年8月に施行された「中小企業経営力強化支援法」に基づいて制定されました。中小企業庁のサイトで検索できます。
【参考】中小企業庁認定経営革新等支援機関
そして、付加価値額の向上も条件です。具体的には、補助終了後3〜5年で付加価値額の年率平均を3.0~5.0%増加させる、もしくは従業員1人あたり付加価値額の年率平均を3.0~5.0%増加させなければいけません。事業再構築補助金における付加価値とは、「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足したものです。
以上が全申請枠で共通である2つの条件ですが、それに加えて申請枠ごとにも個別の条件があります。詳しくは公式サイトを確認しましょう。
【参考】事業再構築補助金
対象となる事業者の例
事業再構築補助金は、日本国内に本社を有する中小企業や中堅企業、個人事業主が主な対象になります。具体的には、資本金が10億円より少ない会社や、従業員の数が2,000人以下の会社が対象です。
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申請の事前準備と申請に必要な資料
事業再構築補助金の申請には、電子申請システムを使う必要があります。そのため、まずは「GビズIDプライムアカウント」を取得しましょう。
そのうえで、全枠共通で必要な書類は以下のとおりです。
- 事業計画書
- 認定経営革新等支援機関による確認書
- 金融機関による確認書(補助金額3,000万円超の場合)
- 収益事業を行っていることを説明する書類
- 決算書
- ミラサポplus(電子申請サポート)で作成した事業財務情報
- 固定資産台帳
上記以外にも申請枠ごとに必要な書類がありますので、自社が申請する枠の情報を確認しておきましょう。
【参考】事業再構築補助金、添付書類確認シート/事業再構築補助金
申請前に確認しておきたいポイント
事業計画書は具体的に記載する
事業計画書のフォーマットは任意ですが、説得力を持った計画書にするには、なぜ補助金が必要なのか、一貫したストーリーのある書き方をする必要があります。そのためには、以下について具体的に書きましょう。
- 具体的にどのような取り組みをするか
- 将来の展望
- 事業で購入すべき資産
- 実行可能な収益計画
これらは抽象的な理念や漠然とした目標ではなく、ビジネスモデルやスケジュールまで具体化させなければいけません。
たとえば「将来の展望」では、「なぜ付加価値が上がるのか」を市場データや業種ごとの財務統計データなどの具体的数値を使って説明する必要があります。「収益計画」では、付加価値や給与支給総額の目標数値とともに、なぜそのような数値になるのか計算の根拠を書く必要があります。
事業計画書の作成方法は、公式でガイドブックが公開されています。ぜひ参考にしてみてください。
【参考】事業計画書作成ガイドブック/事業再構築補助金
補助金受給よりも先に補助事業を始める必要がある
補助金を受けるにあたり、補助金は後払いという点に注意が必要です。つまり、まずは自己資金か資金調達で事業を行い、事業が終わってから補助金が振り込まれるのです。金融機関からの資金調達のように最初に資金が振り込まれるわけではないので、先立つ資金は別で用意する必要があります。
補助事業として認められない経費がある
補助金といってもすべてが補助の対象となるわけではなく、一部対象外の経費がある点も注意が必要です。
たとえば、公道を走行できる車は補助の対象にはなりません。対象となる事業以外にも、幅広く使えるからです。同じ理由でパソコンやスマホなどのガジェット、デスクや椅子といった汎用的な什器、家賃や水道光熱費も補助の対象外です。
詳しくは、公式で発表されている資料を確認しましょう。
【参考】補助対象として認められない経費の例/事業再構築補助金
【こちらもおすすめ】大規模成長投資補助金の対象となる経費とは?中小企業の賃上げに向けた省力化を促進する補助金を解説
まとめ
事業再構築補助金は、当初は新型コロナで大変な思いをしている事業者を助ける目的でした。しかし近年は、物価高騰や人手不足への対策という側面が大きくなっています。
第12回公募からは、デジタル化や自動化に投資して生産性を上げようとする取り組みに対する補助金として「省力化投資補助枠」募集が開始しました。補助対象となる製品カタログや募集要項がサイトで確認できます。
事業再構築補助金を使って事業の転換を図る場合、そのような制度の変化もしっかり頭に入れておきましょう。
【参考】中小企業省力化投資補助金
*Andrii Yalanskyi, SomYuZu, A9 STUDIO, David Gyung, Andrew Angelov / shutterstock
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