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防護標章制度(ぼうご ひょうしょう せいど)

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    わかっちゃう! 知的財産用語    No.155

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こんにちは!  わかっちゃう弁理士 西川幸慶です。


 ☆ 本日の知的財産用語


防護標章制度(ぼうご ひょうしょう せいど)]


 著名な登録商標の保護を強化するための制度です。

 著名な登録商標については防護標章の登録を受けることにより、
同一の商標を他人が類似しない商品や役務に使用することを禁止す
ることができます。



(1) 商標権は全ての商品や役務(サービス)について権利が及ぶの
 ではなく、指定したのと同一又は類似の商品・役務に限られます。


 つまり、指定したものと類似しない商品や役務については、権利
が及びません。




(2) しかしながら、登録された商標が広く知られて著名となった場
 合、他人が同じ商標を類似しない商品や役務について使用すると、
(著名であるが故に)同じ商標権者の提供する商品や役務であると
 誤解されてしまうことが有ります。


 このような場合、防護標章の登録を受ければ、類似しない商品や
役務についても他人による同一商標の使用を禁止することができま
す。また、他人による商標登録を排除することもできます。


 これにより、商標権だけではカバーできなかった「類似しない商
品・役務」まで、保護を受けることができることになります。




(3) 防護標章の登録を受けるためには、登録商標が広く知られて著
 名となっている必要があります。


 つまり 防護すべき対象となる著名な登録商標の存在が前提とな
ります。著名な商標として、例えば有名企業の有名なハウスマーク
などが考えられます。


 防護標章の登録を受けられるのは著名な登録商標と同一の「標章」
です。


 ここで「標章」とは、文字,図形,記号などのこと。マークとか
ネーミングと思っていただくと良いです。


 「商標」は「商品や役務に使用する標章」ということになってい
るため、使用を前提としない防護標章は「商標」とは呼ばないので
す。




 手続としては特許庁に 防護標章出願を行います。その際には、
他人に著名商標を使用されたくない商品や役務を指定します。


 特許庁は出願を審査し、所定の要件を満たす出願について防護標
章の登録を行います。




(4)防護標章の登録を受けると、その防護標章登録で指定した商品や
 役務について、他人がその防護標章(著名な登録商標と同一標章)
 を使用することを禁止できます。


 また、他人が防護標章の指定と同一の商品や役務について、防護
標章と同一の商標を出願しても、その出願を登録させなくさせる
ことができます




(5) 登録された防護標章の存続期間は商標権と同様に10年間です。


 ただし、防護すべき著名商標についての商標権が消滅したときに
は同時に消滅します。防護の対象が無くなり、防護標章だけを存続
させる理由がないからです。




(6) 登録された防護標章商標権と同様に更新登録をすることがで
 きます。ただし、商標権の更新が「申請」であるのに対し、防護
 標章については「申請」ではなく「出願」をする必要があります。


 「申請」と「出願」の違いは、審査の有無です。「申請」は所定
の手続をすればそのまま更新が認められるのに対し、「出願」は所
定の要件を備えているかどうかを判断します。


 防護すべき登録商標が既に著名でなくなっているような場合は、
審査をパスできず更新が認められません。


      ☆              ☆


[関連事項と経験談]

(1) 商標制度は「使用する商標」を登録することを前提として
 います。


 しかしながら、出願の際には「使用の事実」や「使用の予定」に
ついての確認はありません。そのため、使用予定のない商標が登録
になることもありますし、登録後も全く使用されていない商標もた
くさんあります。


 また、防護標章の出願料は通常の商標出願に比べて高額(約2倍)
です。


 そのような状況があるため、使用予定のない商品や役務について
も、あえて「防護標章」ではなく通常の商標登録を受ける人もいま
す。


 ただし、上記の商標制度の趣旨にも反しますし、長期間使用して
いない登録商標は「不使用取消審判」で取り消されることもありま
すので、このようなやり方は あまり お勧めはしません。




(2) 防護標章制度の存在意義を疑問視する意見も有ります。


 (A) 審査において本当に「著名」であるかどうかの判断が難しい。


 (B) 同一の標章に限られ、類似の標章は含まれないので保護が
   不十分。

 (C) 著名商標の保護は 不正競争防止法でも ある程度対処
   できる。


 などの理由から そのような意見が出ているようです。




(3) 防護標章の登録がなくても、「不正の目的で」他人が著名な
 商標と同一又は類似の商標を出願した場合、その出願は拒絶され
 登録になりません。


 ここで、不正の目的とは、不正の利益を得る目的や、他人に損害
を与える目的などのことです。


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 「わかっちゃう! 知的財産用語」

  発行   西川特許事務所 ( http://www.jpat.net/
       兵庫県西宮市東山台3丁目9-17  
       電話 0797-61-1841、 FAX 0797-61-1821 
  発行人  弁理士 西川 幸慶  pat@jpat.net
   
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  (C) 2007 Nishikawa Yukiyoshi 
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[編集後記]

 近所を散歩していると、小学校2年生くらいの女の子2人が歩道
でジャンケンのゲームをし始めました。

 勝った方が、所定の歩数前に進むことができるというゲームです。

(正式名は知らないのですが、私が子供の頃は「いんじゃんほい」
と呼んでいました。)


 ゆっくり歩きながら見ていると、一方の子が連続して10回以上
勝っています。

「勝ち手」は いろいろで、勝った子は「チヨコレイト」とか「パ
イナツプル」などと数えながら どんどん前に進んでいきますが、
負けている子はスタートから1歩も動けません。


 とうとう相手の出した手が見えないくらい離れてしまい、ゲーム
が終わりました。

 あまりに一方的な勝負なので 見ていて驚きました。


 勝った子は おそろしく勝負運が強いのか?

 相手の子が出す手のパターンを完全に把握しているのか?

 霊感というか予知能力があるのか?

 それと何かトリックが有るのか?。

とか 考えてしまいました。

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