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わかっちゃう! 知的財産用語 No.172
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こんにちは! わかっちゃう弁理士 西川幸慶です。
☆ 本日の知的財産用語
「 移転登録 (いてんとうろく)」
特許権,
商標権などの権利者が別の人に変わったことを
特許庁の
原簿に登録することです。
(1)
特許権,
商標権などは財産権ですので、他人に譲渡することがで
きます。但し、当事者間の合意や
契約だけでは移転したことにはな
りません。
移転させるためには、
特許庁に移転登録の手続をし、移転登録を
してもらわなくてはなりません。
誰が権利者であるのかを 誰にでもわかるようにしておく必要が
あるからです。
(2)
例えばAさんが自分の
商標権をBさんに譲渡しても、移転登録し
なければ、
商標権者は まだAさんということになります。
(移転登録すればBさんが
商標権者になります。)
他人の権利を譲り受けたような場合は、必ず移転登録の手続をし
ましょう。
(3)
移転登録の手続としては、
特許庁に「移転登録申請書」を提出し
ます。
例えば
商標権を移転した場合でしたら「
商標権移転登録申請書」
を提出します。
「移転登録申請書」には、「譲渡証書」を添付します。
「譲渡証書」というのは「AさんがBさんに 特定の権利を譲渡
したことを証明する書面」です。
(4)
詳しいことは
特許庁(電話:03-3581-1101)に
お尋ね下さい。
☆ ☆
[関連事項と経験談]
(1)
「社長個人が所有している権利を自分の会社名義にする場合」には
注意が必用です。
実際に会社(
法人)設立前に個人名義で
商標権を確保しておき、
会社設立後に権利を会社名義にすることは よくあります。
その場合、立場上「利益相反行為」として問題になることがあり
ます。
それを回避するためには、原則として「
取締役会の承認」 又は
「
株主総会の決議」が必要となります。
無償で譲渡すれば「利益相反行為」と判断されないので上記の「
取締役会の承認」などは必要ないのですが、譲渡証書に「無償にて
譲渡した」ことを書いておく必要があります。
あまり無いパターンかもしれませんが、
「会社名義の権利を 社長個人の名義にする場合」も 同様です。
(2) 手続上の注意
「移転登録申請書」と、それに添付する「譲渡証書」には所定額
の収入印紙を貼らなくてはなりません。
その際、まず注意しなくてはならないのは「
特許印紙」ではなく
「収入印紙」である点です。
「
特許庁に提出する書類に貼る印紙は
特許印紙である」と思いこ
んで「
特許印紙」を貼ってしまう人がたまにおられます。
移転登録関係は普通の「収入印紙」ですから、間違えないように
注意してください。
次に注意するのは印紙の「
割印」です。
(
割印というのは印紙と、その印紙を貼った書類の両者に またが
るように おされる印のことです。)
「譲渡証書」に貼った収入印紙には
割印が「必要」です。
でも、「移転登録申請書」に貼った収入印紙には
割印は「不要」
です(というか、
割印してはいけません)。
これも 間違いやすいですね。私もたまに「どっちだったっけ?」
と思うことがあるので、手続の前には
書式集などを見て必ず確認す
るようにしています。
(3)
持っている権利の全てを譲渡する場合の他に、持っている権利の
一部(例えば半分)を譲渡することもできます。これを「一部譲渡」
といいます。
この場合、例えば
商標権なら「
商標権の一部移転登録申請書」に
「一部譲渡証書」を添付して提出します。
移転登録により権利は 共有となります。つまりAさんが権利の
「一部」をBさんに譲渡し、それが移転登録されると、その権利は
AさんとBさんの共有となります。
詳しいことは また別の機会に説明します。
(4)
特許事務所に移転登録のための書類作成を依頼することもできま
す。
私も最近、移転登録のご依頼を受けることが多いのですが、「権
利(特に
商標権)って案外たくさん移転されているのだなー」と思
いました。
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「わかっちゃう! 知的財産用語」
発行 西川
特許事務所 (
http://www.jpat.net/ )
兵庫県西宮市東山台3丁目9-17
電話 0797-61-1841、 FAX 0797-61-1821
発行人 弁理士 西川 幸慶
pat@jpat.net
ご意見、ご感想 お待ちしてます。
* このメールに返信いただけば、西川に届きます。
★ 遠方からの「意匠」,「
商標」の出願のご依頼承っております。
まずは Eメール,FAX等で お問い合わせ下さい。
☆「メール相談」
http://www.jpat.net/sodan.htm は「有料」です
が、出願等のご依頼に伴うご相談は「無料」で承っております。
☆ 日記
http://plaza.rakuten.co.jp/pinnote/
☆ ☆
掲載された記事の内容を許可なく転載することを禁じます。
但し、署名を含めて全文転載でしたら転載,転送していただいて
結構です。
(C) 2007 Nishikawa Yukiyoshi
『まぐまぐ』 を 使ってお届けしています。
本マガジンの解除や配信先メールアドレスの登録変更は
http://www.mag2.com/m/0000098536.htm からお願いします。
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[編集後記]
工場見学に行ってきました。
自動搬送車 のような機械に それぞれ人間のような名前がつけ
られていて、その名前がボディに大きく描かれていました。
(通常なら「搬送1号」とか「H1」みたいな名前になると思うの
ですが・・・)
工場で
「伸太郎の調子が悪い」とか「純子は充電中」
みたいな会話をしているのかと思うと楽しいですね。
名前を付けると 愛着がわくのでしょう。
私も 何かの機械に 名前付けてみようかな。
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わかっちゃう! 知的財産用語 No.172
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こんにちは! わかっちゃう弁理士 西川幸慶です。
☆ 本日の知的財産用語
「 移転登録 (いてんとうろく)」
特許権,商標権などの権利者が別の人に変わったことを特許庁の
原簿に登録することです。
(1)
特許権,商標権などは財産権ですので、他人に譲渡することがで
きます。但し、当事者間の合意や契約だけでは移転したことにはな
りません。
移転させるためには、特許庁に移転登録の手続をし、移転登録を
してもらわなくてはなりません。
誰が権利者であるのかを 誰にでもわかるようにしておく必要が
あるからです。
(2)
例えばAさんが自分の商標権をBさんに譲渡しても、移転登録し
なければ、商標権者は まだAさんということになります。
(移転登録すればBさんが商標権者になります。)
他人の権利を譲り受けたような場合は、必ず移転登録の手続をし
ましょう。
(3)
移転登録の手続としては、特許庁に「移転登録申請書」を提出し
ます。
例えば 商標権を移転した場合でしたら「商標権移転登録申請書」
を提出します。
「移転登録申請書」には、「譲渡証書」を添付します。
「譲渡証書」というのは「AさんがBさんに 特定の権利を譲渡
したことを証明する書面」です。
(4)
詳しいことは 特許庁(電話:03-3581-1101)に
お尋ね下さい。
☆ ☆
[関連事項と経験談]
(1)
「社長個人が所有している権利を自分の会社名義にする場合」には
注意が必用です。
実際に会社(法人)設立前に個人名義で商標権を確保しておき、
会社設立後に権利を会社名義にすることは よくあります。
その場合、立場上「利益相反行為」として問題になることがあり
ます。
それを回避するためには、原則として「取締役会の承認」 又は
「株主総会の決議」が必要となります。
無償で譲渡すれば「利益相反行為」と判断されないので上記の「
取締役会の承認」などは必要ないのですが、譲渡証書に「無償にて
譲渡した」ことを書いておく必要があります。
あまり無いパターンかもしれませんが、
「会社名義の権利を 社長個人の名義にする場合」も 同様です。
(2) 手続上の注意
「移転登録申請書」と、それに添付する「譲渡証書」には所定額
の収入印紙を貼らなくてはなりません。
その際、まず注意しなくてはならないのは「特許印紙」ではなく
「収入印紙」である点です。
「特許庁に提出する書類に貼る印紙は特許印紙である」と思いこ
んで「特許印紙」を貼ってしまう人がたまにおられます。
移転登録関係は普通の「収入印紙」ですから、間違えないように
注意してください。
次に注意するのは印紙の「割印」です。
(割印というのは印紙と、その印紙を貼った書類の両者に またが
るように おされる印のことです。)
「譲渡証書」に貼った収入印紙には割印が「必要」です。
でも、「移転登録申請書」に貼った収入印紙には割印は「不要」
です(というか、割印してはいけません)。
これも 間違いやすいですね。私もたまに「どっちだったっけ?」
と思うことがあるので、手続の前には書式集などを見て必ず確認す
るようにしています。
(3)
持っている権利の全てを譲渡する場合の他に、持っている権利の
一部(例えば半分)を譲渡することもできます。これを「一部譲渡」
といいます。
この場合、例えば商標権なら「商標権の一部移転登録申請書」に
「一部譲渡証書」を添付して提出します。
移転登録により権利は 共有となります。つまりAさんが権利の
「一部」をBさんに譲渡し、それが移転登録されると、その権利は
AさんとBさんの共有となります。
詳しいことは また別の機会に説明します。
(4)
特許事務所に移転登録のための書類作成を依頼することもできま
す。
私も最近、移転登録のご依頼を受けることが多いのですが、「権
利(特に商標権)って案外たくさん移転されているのだなー」と思
いました。
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「わかっちゃう! 知的財産用語」
発行 西川特許事務所 (
http://www.jpat.net/ )
兵庫県西宮市東山台3丁目9-17
電話 0797-61-1841、 FAX 0797-61-1821
発行人 弁理士 西川 幸慶
pat@jpat.net
ご意見、ご感想 お待ちしてます。
* このメールに返信いただけば、西川に届きます。
★ 遠方からの「意匠」,「商標」の出願のご依頼承っております。
まずは Eメール,FAX等で お問い合わせ下さい。
☆「メール相談」
http://www.jpat.net/sodan.htm は「有料」です
が、出願等のご依頼に伴うご相談は「無料」で承っております。
☆ 日記
http://plaza.rakuten.co.jp/pinnote/
☆ ☆
掲載された記事の内容を許可なく転載することを禁じます。
但し、署名を含めて全文転載でしたら転載,転送していただいて
結構です。
(C) 2007 Nishikawa Yukiyoshi
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[編集後記]
工場見学に行ってきました。
自動搬送車 のような機械に それぞれ人間のような名前がつけ
られていて、その名前がボディに大きく描かれていました。
(通常なら「搬送1号」とか「H1」みたいな名前になると思うの
ですが・・・)
工場で
「伸太郎の調子が悪い」とか「純子は充電中」
みたいな会話をしているのかと思うと楽しいですね。
名前を付けると 愛着がわくのでしょう。
私も 何かの機械に 名前付けてみようかな。